先日、「オーボエ奏者を見習って、サックス奏者もリードを自分で作るくらいの気迫で、自分のリードを調整しよう!」、などと偉そうなことを書きましたが、実はオーボエ奏者でも多くの方々は、市販の完成品オーボエリードを購入してそのまま使っています。ネットで検索すれば、多くのメーカーや工房が、膨大な数の製品を販売しています。
主に、フレンチタイプ、ジャーマンタイプ、インターナショナルタイプの3種に分かれますが、リードの性格は、使用しているチューブの違いや、組み立て時の味付けの方向性によって異なり、サックスのリードとは比べ物にならないほどの、とてつもないバリエーションの数が発生します。一本は安くても4千円前後しますので、オーボエ奏者は楽器店で血眼になって試奏を繰り返すそうです。
今回は、「人にやってもらうリード調整」の話をしましょう。
リード調整受託は、実はかなり古くからある業務形態です。多くの場合は、マウスピースの設計・製造を手掛ける技術者が、依頼者からのリードを自己のノウハウを生かして調整し、調整済みのリードを委託者に返却する、という仕組みが多いようです。かなりリーズナブルな価格で、「ひと箱全部が鳴るようになる」とのことで、委託を定常化させているプレーヤーも少なくないようです。
そんな「リード調整受託業務」において、近年クローズアップされているのが、「リードマイスター」という、リードの性能を精密に計測する装置です。
「リードマイスター」は13年ほど前に、東京都豊島区のシングルリード研究室主催、花井宏維氏が発明し、鈴木精密機械工業所が設計・製造・組み立てをおこなっている、リードの良し悪しを決定する、リード先端の固さを精密に測定し、PCでグラフ化できる製品で、315,000円で販売されています。
クラリネットおよびサックスのシングルリードを装置にセットし、センサーをリード先端に触れるようにし、リードを扇形に移動して、センサーがリード先端の全域をスキャンするよう動かします。このセンサーの測定結果がPCモニタにグラフ表示され、「振動の悪い“維管束”(いかんそく)」の部分が、グラフの落ち込みで分かります。
維管束とはリードを縦に走る繊維質のことで、それが無数に連なってリードとなっています。リードのしなりと振動を決定する維管束の「不良部分を切る」ことでリードは均一に振動するようになります。
グラフの示す位置に合わせて、不良な維管束を極小カッターで数か所切断すると、再測定でグラフが変化します。この作業を続けて、グラフが滑らかになれば調整は完了で、全く別の「鳴るリード」に生まれ変わるそうです。リードの繊維を切断して、弾力を修正するという発想は、なかなか新しいものがありますね。
シングルリード工房等の複数のアトリエで、この「リードマイスター」を使用したリードの調整受託をしています。リード1枚につき、100円から150円のようです。これを高いと見るか、安いと見るかは、吹いた結果を感じるあなた次第でしょう。
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