サックスのマウスピースの先端、リードとマウスピースとの隙間(開き)をティップオープニングと呼びます(以下ティップ)。
ティップは7*とかC*、55等の記号や数字で表され、各マウスピースメーカーは1種類のマウスピースモデルに対し、数種類のティップのバリエーションを用意しています。
ティップのバリエーションの刻み方は各メーカーによって異なり、市販のすべてのマウスピースのティップの、記号と実寸(1/1000インチとmm)を比較した、マウスピース開き比較表が数多く公開されています。
またリードにも番手があり、その固さによってバリエーションがあります。「チップとデール」、もとい、「ティップとリード」の関係は実に奥が深いものがあります。その関係を深掘りしてみましょう。
マウスピースに装着されたリードは、奏者の息によって高速に振動します。振動により、リードの先端はマウスピースの先端に、触れたり離れたりを繰り返します。ティップが広いと、リード先端との距離が大きくなり、固いリードでは音が出にくくなります。逆にティップが狭い場合は、柔ら過ぎるリードは音が出なくなります。
初心者は、楽器としてのサックスを吹きこなし易い、「基本の組み合わせ」でサックスを始める場合がほとんどです。マウスピースがセルマーのS80ならティップはD、リードはバンドレンのJAVAの2.5あたりが入門セッティングでしょう。そしてここから、ティップとリードの長い旅が始まります。
サックスの音の太さ、音量は、ティップが広いほうが有利と考えられます。リードが大きく振動するからです。ちょっと昔のジャズ系テナーマンは、テナーの巨人達を真似て、リンクメタルの9番に、リードはラボーズのHARDなんて組み合わせで、音を出そうと努力したようです。息の入れ方やコントロールが難しいのと、音を拡声するマイクとPAが発達したので、今ではこのようなセッティングのテナー吹きは少なくなり、この「テナーは広ティップ&固リード」はほぼ迷信になりつつあります。
クラッシック界の迷信(?)には、逆の「狭ティップ&柔リード」も存在しました。上手くコントロールすると、澄んだ柔らかいサウンドに、美しいビブラートがかけられるという噂がありました。
とにかく極端なティップとリードの組み合わせは、「過ぎたるはなお及ばざるが如し」、でしょう。
ほとんどのサックス奏者は、常に自分のサウンドと吹奏感の改善を模索しています。新作のマウスピースや、友人が吹いているマウスピースを試したり、自分のマウスピースのティップの違う番手を吹いてみたりもします。実際、サックスのサウンド改善のためには、マウスピースの変更より、同型マウスピースのティップ変更やリードの番手変更、リードのブランド変更のほうが、変化幅が緩やかで、奏者への負担も軽いかなり有効な手段です。
ティップとリードの関係に正解はありませんが、ティップとリードに注目して自分のサックスサウンドを考えることは、とても効率的で意味のあるアプローチだと思います。
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