サックスという楽器は、かなり複雑なメカニズムを持っています。一般的なアルトサックスで約600点の部品から構成されています。その膨大な数の部品が、ひとつひとつ各々の役割を果たし、私たちサックス奏者の演奏をサポートしてくれています。また数多くのサックス関連アクセサリーも販売されています。
サックスやアクセサリーを細かく解剖し、それぞれの部品の役割を探ってみましょう。今回のテーマは「吸水ペーパー」です。
ひとことで「吸水ペーパー」と言っても、微妙な役割の違いや名前の違いで、何種類もの類似品があります。サックス奏者の中には、「正直、良く分からないで使っている」、という方も少なくないと思います。大雑把に分類すると、吸水ペーパーまたは吸水シート、そしてクリーニングペーパー、最後にパウダーペーパーの3種類に分けることが出来ます。
吸水ペーパーと吸水シートは、文字通りパッドの水分のみを吸い取るのが役割です。サックス演奏後にパッドに付着した水滴を拭き取り、パッドをドライに保つためのものです。薄い紙状のものもあれば、スポンジのような布状のもので作られている製品もあります。
クリーニングペーパーは、吸水性が高いうえに、油とり紙のような吸脂性も併せ持ち、パッドの水分ばかりでなく油性の汚れも除去することが出来ます。
最後のパウダーペーパーは、パッド表面に微細粒子のパウダーをコーティングし、パッドのべたつきを防ぐためのものです。紙状のものにパウダーが塗布されており、パッドとトーンホールの間に挟んで、軽くパタパタとキーを開閉することでパウダーを塗布します。と、各々の役割があるのですが、すべてのものが「パッドの吸水」に使うことが出来ます。そしてそこが誤使用の原因になっているようです。
クリーニングペーパーは吸水に加え脱脂機能もあるので、吸水ペーパーに較べて割高です。クリーニングペーパーを吸水目的に使うと、あっという間に1セットを使い切ってしまいます。またパウダーペーパーを吸水に使うと、水分にパウダーが混じり、粘液状のものとなってパッドやトーンホールの淵に汚れとなって蓄積し、パッドの密閉不良を起こしかねません。
ここまで説明すればなんとなく分かって来たと思います。サックスのパッドを最良の状態に維持するためには、各製品の機能に沿った適切な使用をする必要があります。
サックスを吹いた後には、吸水ペーパーまたは吸水シートでパッドの水分をしっかりと除去しましょう。ティッシュや事務用吸い取り紙でも良いかもしれませんが、繊維くずが残らぬよう、細心の注意をもって使用してください。
昔のジャズサックス奏者の間では、使い古しの1ドル札をパッドの吸水に使うのが流行っていました。パッドの水分を完全に拭ったら、クリーニングペーパーで更に油脂汚れを除去するのも丁寧なメンテナンスです。毎回する必要はないでしょうが、短い間隔での油脂汚れ対策も効果的です。
パウダーペーパーはパッドの吸水には絶対に使用せず、パッドがくっつき易くなっている場合に、あらかじめパッドの水分をしっかりとったうえで使用します。定期的にやる作業ではなく、あくまで応急処置的なものと考えてください。
パッドのべたつきは、トーンホールの淵の念入りな清掃や、バネ強度の調整等、根本的な対処が必要となる場合が少なくありません。
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