「トゥ、トゥ、トゥ、トゥ」とか「ル、ル、ル、ル」などと、発音を真似て習うのがタンギングです。舌を素早く動かして、サックスの発音の頭をコントロールする技術です。サックスは音を出すための道具ですが、必要なタイミングで発音し、必要なだけ音を伸ばして止める、この動作が連続的におこなわれることで、はじめて音楽を奏でることが出来ます。息の圧力だけで音を発音するエアータンギング(またはエアーアタック)の場合は、発音のタイミングを正確、かつピーキー(音の立ち上がりを瞬時に大きくする)にすることは難しく、いきおい「だらだら」とした音の始まりになりがちです。その音楽のテンポに合致した、必須のタイミングで、100分の1秒ほどの精度でサックスの音を立ち上げる、それがタンギングの基本です。このサックス演奏における非常に重要な技術、「タンギング」について考えてみましょう。
管楽器に付き物の技術、タンギングですが、サックスにおいては近年、この技術の重要度が減っているのでは、という意見があります。近代サックスの基本性能の目覚ましい向上により、運指による音程の変化の「切れ味」が向上しています。楽器設計の精度の向上で、運指を変えただけで、スパッと音程が切り替わるように、サックスそのものがなっているのです。そのため、フレーズの頭の音はともかく、フレーズの中の音階変化について、必ずしもタンギングをしなくても、違和感の無い音列が演奏出来ているのです。もちろん昔のサックスでも、フレーズの音符全音についてタンギングがなされていた訳ではありませんが、その頻度が現代では確実に減っています。しかしタンギングを「しなくても分からない」が、「する必要がない」ということではありません。フレーズの中の特定の場所に、適切なタンギングをすることで、その音楽の表現力が向上するケースは確実にあります。そして近代の高性能サックスに慣れてしまったサックス奏者は、その配慮に「鈍感」になってしまっているような気がします。楽譜やフレーズの練習の際には、タンギングの場所を熟考する時間を取ってください。アクセントの位置を考えるというこの作業は、どんな楽器でもおこなわれている、音楽表現の準備のために必須の作業です。どうもサックス奏者は、この作業から疎遠になってしまっているようです。是非、再認識してください。
タンギングはサックスの音を音楽にするための必須の技術です。それゆえに沢山の手法があります。ストレートなハードタンギングと、柔らかなソフトタンギング、ハーフタンギングやスラップタンギング、ダブルタンギングやフラッタータンギングなんてものもあります。タンギングによる発音の直後に、アンブシャでコントロールすることによって、出せる音のバリエーションは多彩になり、無限大になります。ここで注意点です。これらの技術は、あくまで目標とする音楽表現が有っての技術です。タンギング技術の方法論にばかり注目して、その結果を見失うのは本末転倒です。どんな技術を使っても、目指す音楽表現を実現できれば、それが最適解です。タンギング技術は手段で、目標ではありません。
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