言わずもがなではありますが、マウスピースはサックス奏者にとって、非常に重要な楽器の部品であり、その機能と性能は、奏者のサウンドや演奏に大きな影響を与えます。
ここ数年、人気マウスピースデザイナーのセオ・ワニ氏が数回来日し、マウスピースの診断や簡易リフェースをしてくれるワークショップを開き、多くのサックス奏者から好評を得ています。
米国カリフォルニア生まれのセオ・ワニ氏は、今でこそ人気の「セオ・ワニ・ブランドマウスピース」のデザイナー兼製造者として活躍していますが、かつてはヴィンテージマウスピースの研究者及びコレクターであり、豊かなヴィンテージマウスピースの知識をもとに、現代のマウスピースやオールドマウスピースをリフェースして販売していました。
また日本でも多くのマウスピース職人がリフェースを受注するようにもなりました。
リフェース(Reface)とは、広い意味では「表面の修理・修復」ですが、サックスマウスピースの場合の「リフェース」は、修理に加えて「改良・改善」の意味が大きくなっています。
比較的シンプルなリフェースは「欠けの修復とティップオープニング変更」です。目標が非常に明確なためシンプルなリフェースと言えますが、決して作業が容易なわけではありません。事故にあったマウスピースの多くが、「ティップ先端の欠損」であることや、手に入れたマウスピースのティップオープニングを広げたい・狭めたい、というニーズが多いことから、プロのリフェースの職人であれば、この修理技術を避けることは出来ません。
マウスピース本体と類似の素材で、極めて小さい先端の欠損を、元通りにしたり、ティップオープニングの番手の変更に伴う、非常に繊細なテーブルすり合わせや、サイドレールのフェーシングカーブ加工などは、物理的な加工技術だけではなく、経験や勘、理論の知識、精密測定技術も必要な、高度に専門化された作業です。
シンプルではないリフェースのほうは、バッフルやら、サイドレールやら、ボアやらの改造等、多くの「やりたがりサックス奏者」が、失敗を顧みず、凝りもせず(失礼!)繰り返している「チューニング」とも呼ばれるリフェースです。
「コルトレーンはオットーリンク・メタルマウスピースのバッフルに、ガムを貼り付けてマウスピースをチューニングした」や、「昔のジャズサックス奏者は、樫の棒でバッフルを擦って、マウスピースを調整した」などの逸話のような、「自分のマウスピースの、自己責任による改造」です。技術の有り無しにかかわらず、多くのサックス奏者は「やりたがり」ますよね。
慎重派のサックス奏者がやるような、細かいやすりでバッフルを磨いたり、左右のレールの幅を揃えたりの作業でも、サウンドや吹奏感が改善する場合も多々あります。過激派はリューターなどの電動工具で、バッフルやボアを削って形を変えてしまう場合もあります。「一本や二本、つぶしても構わん」なんて、マニアも少なくありません。
マウスピースに個体差がある、ということは、リフェースの意味が「無くはない」というのが事実でしょう。でもリフェースは、自分でやるなり、プロに任せるにしても、くれぐれも慎重におこなってください。
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