サックスという楽器に習熟していくためには、レッスン、教則本による独学、熟練者からのアドバイス等、色々あります。何とか音が出せるようになり、指を動かして音程が作れるようになり、ピッチを安定させることが出来るようになり、早いフレーズが吹けるようになり、云々。
こんな習熟のステップの中で、「サックスで良い音を出す」ということが、どうも後回しになっている気がします。というか、「音の良し悪しは個人の感覚だから」とか、「音質よりもフレーズを吹けることが優先」とか、「音作りは奏者の永遠の課題」などと、「敬遠される項目」になっていないでしょうか。
クラッシック系サックスでは、かなり音色に神経を使いますが、ポピュラー系、吹奏楽系、ジャズ系では、マウスピースや楽器の特性で音質が決まると考えている方も多いようです。ちょっと、「良い音」について深く考えてみましょう。
あるとき、一流のプロサックス奏者のリハーサルを見学する機会に恵まれました。そのサックス奏者は楽器を組み立て、バンド全体でチューニングを兼ねたB♭のロングトーンを吹き始めました。そのロングトーンのなんと美しかったこと。ただの一音のロングトーンが、音の立ち上がり、音の美しさ、微妙なナチュラルビブラート等、あらゆる面で「音楽」になっているのです。その一音の美しさに、本当に感動を覚えました。一流の奏者は、ロングトーンですら美しい音楽にするんだ、と感じた瞬間でした。この感動の肝はもちろ「良い音」であり「美しい音」に他なりません。
「どんな音が良い音なのか、良く分からない」、と言うアマチュアサックス奏者が沢山いますが、そんなに難しいことではないんです。「奇麗だな」、と感じたらそれが良い音、「ん?」と感じたら悪い音です。音の良し悪しの物差しなんて、そんな曖昧なものなのです。しかし、演奏者がそこに注意を払っているか、払っていないかで、表現力には大きな差が出ます。自分の音を知っているか、良い音を出そうとしているか、良い音を探しているかどうかで、作られる音楽の質が大きく変わるのです。
音作りの基本は「録音して聴く」です。が、録音する前に、自分のサックスの音を壁にぶつけて、跳ね返った音を聴くのも有効です。歯から伝わってくる自分の音にも耳を傾けるのも価値はあります。とにかく自分の音を聴くことです。そしてそれが本当に自分が出したい音かを考えてみましょう。自分の好きな、敬愛する、サックス奏者のサウンドと比較するのも近道かもしれません。ま、遠回りになる場合もありますが(汗)。
「良くない」は分かるけど、どこが良くないかが分からない、という場合は、「音が太い/細い」、「輪郭がシャープ/鈍い」、「ノイズがある/クリア」、「音が明るい/暗い」、等の、一般的な「音質の物差し」を使って考えるのも良いでしょう。
音色の改善には、定番の対策はほとんどありません。沢山ロングトーンをして、息や唇を「より安定させる」とか、マウスピースやリードを変えるとか、喉の形や息の角度や密度を変えるとか、アンブシャを変えるとか、色々、沢山、あらゆる要素に変化が必要です。
そして音の改善は、かなり長期戦になるでしょう。でも「音を良くしたい」という意識は、必ず良い結果を生み出します。頑張りましょう。
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