突然ですが、フリューゲルホルンって金管楽器知っていますか?ジャズやブラスバンドなどのジャンルで、とても甘い音でバラードなどを「歌い上げる」場面等に使用される、トランペットを少し大ぶりにしたような楽器です。フリューゲルやフリューゲルホーン、ジャズ業界ではゲルホンなんて呼ばれたりもします。
このフリューゲルホルン、実はサックスの親戚なんです。サックスの発明者として知られるアドルフ・サックスよって考案された、「サクソルン属」と呼ばれる一群の楽器の中の「ソプラノ」(あるいはその改良されたもの)とされています。
1840年代初頭にベルギーの楽器製作者、ご存知アドルフ・サックスによって最初のサックスが発明されて以来、調および調律基準の違いによって、ソプラノ、テナー、バリトン等、様々なサックスが生み出されました。そしてそれと並行して、1843年頃、アドルフ・サックスは7種類の「金管楽器群」を製作しました。
これらは全てゆるやかな円錐状の管体を持ち、サックス楽器群と同様に音色の統一が図られ、その全てに3つ以上のピストン式のバルブ(弁)を持っていました。この金管楽器群が「サクソルン(Saxhorn)」と呼ばれています。
つまり、「アドルフ・サックスが発明した金管楽器」がサクソルンです。ですので、厳密に言えば、木管楽器のサックスはサクソルンではありません。
アドルフ・サックスは1845年出願の特許の中で9種類のサクソルンを定義しました。アドルフは実際にはそれより少し前からサクソルン楽器の製作をはじめており、1844年にはアドルフ・サックス製作のアルト・サクソルンが現存しています。
しかし同様の楽器は当時すでに存在しており、とくにドイツにはB♭調のフリューゲルホルン系楽器、E♭調のテナーホルン、F調のバス・テューバなどが作られていました。ですので楽器歴史家の中には、フリューゲルホルンはアドルフ・サックスの発明ではないとするひともいます。
サクソルンの特許の意義は、均質で標準化された指使いを持つ一群の楽器群を定義したところにあるとされています。サクソルンの特徴は、B♭とE♭の2種類に集約された調性と、大きさの異なるそれぞれの楽器の間での、長い円錐管を用いたことによる統一感のある音色であり、サクソルンに由来するとされる多くの楽器が、より良い音質と吹奏感を求めて改良が重ねられ現在に至っています。従って現代では、サクソルンは厳密な意味では、アドルフ・サックスが発明した金管楽器では無くなっています。
実際、主に吹奏楽やブラスバンド、オールドジャズなどで多用される、トランペットを少し短くしたような金管楽器、「コルネット」はサクソルン楽器とされていますが、コルネットの原型はアドルフのサクソルン特許以前の、1820年代にフランスで考案されています。それがサクソルンの特許とその普及によって大きく改良され、現在のコルネットになったと言われています。ま、とにかく、我らがアドルフ・サックスは偉大だった、ということですね。
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