サックスとほぼ同じマウスピースに、リードを着けて演奏する、「サックスのような楽器」が沢山開発されています。
2000年頃ハワイで誕生した、竹製または樹脂製の、「バンブーサックス」とも呼ばれる「ザフーン(Xaphoon)」。これは指で直接音孔を開閉する、リコーダーにサックスのマウスピースを付けたような楽器です。
ポケットサックス等の名前で、色々なメーカーからも類似の製品が出ています。記憶に新しいところでは、2018年に発売が開始された、楽器老舗ヤマハの「ヴェノーヴァ(Venova)」も同様に指で音孔を塞ぎますが、盲腸のような分岐管によって、円錐管をシミュレートするという技術が採用され、音程の正確さが実現されています。さすが世界のヤマハ、楽器としての演奏操作性も高く、ステージ楽器としても遜色のないものになっています。ソプラノ、アルト、テナーの3種をラインナップし、演奏者も多いようです。
そんな「サックス系管楽器」の仲間に、また個性的な製品が現れました。その名も「グリソター(Glissotar)」、連続音サックスとも呼ばれる、ユニークな機構で出来ています。
「グリソター」は、円錐形の木製ストレート管ボディにソプラノサックスのマウスピースを付けた、シングルリード・円錐管楽器ですが、音孔の代わりに直管の上からベル前まで、一直線に溝(スロット)が彫られています。溝の両側には磁性箔が装着されており、そのすぐ上に磁化されたリボンが張られ、リボンのどこを押し下げても、音溝(孔ではなく溝です)はその上で完全に密閉され、連続したピッチであらゆる音程を発音できます。
要は「楽々にグリッサンドがかけられる」ということで、「グリソター」という訳です。両手の8本の指で演奏することも、1本の指を上下にスライドさせることでも演奏できます。二つのオクターブキー機構を備え、楽器の音域は2オクターブ半に渡ります。
このグリソターの発明者、ダニエル・ヴァクジ(Dániel Váczi)は、1972年ブダペスト生まれのサックス奏者、作曲家、発明者、楽器とゲームの研究者です。彼は 1998 年に生物学者として ハンガリーの名門、エトヴェシュ・ロラーンド大学(ELTE) を卒業し、1999 年にリスト・フェレンツ音楽大学(LFZE) のジャズサックス学部で 1 年間学び、2001 年にはジャズトリオを組んでプロデビューし、多岐に渡る音楽活動をしています。
そして2022年、米国アトランタ、ジョージア工科大学主催の、世界で最も権威ある楽器革新コンクールであるガスマン楽器コンクールにグリソターを出品し、優勝を遂げました。その後自己の演奏活動にも積極的にグリソターを使用し、この楽器をフィーチャーしたアルバムも出しています。
グリソターで使用している、音溝と磁化リボンによる音程制御構造は「グリソニック(Glissonic)」と名付けられ、フルート、クラリネット、サックス、オーボエ、さらにはコルネット等にも搭載が研究されているようです。
新しい音程制御方法の楽器が、ぞろぞろと出て来たら楽しいでしょうね。「トーンホール?あ、昔の楽器にあったらしいね。」、なんて時代が来るのでしょうか。
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