サックスという楽器は、かなり複雑なメカニズムを持っています。一般的なアルトサックスで約600点の部品から構成されています。その膨大な数の部品が、ひとつひとつ各々の役割を果たし、私たちサックス奏者の演奏をサポートしてくれています。また数多くのサックス関連アクセサリーも販売されています。サックスやアクセサリーを細かく解剖し、それぞれの部品の役割を探ってみましょう。今回のテーマは「レゾネーター」です。
レゾネーターとは、サックスのトーンホールを塞ぐパッド(タンポ)の中心に付いている、円形の板の事です。英語の「Resonator」には共鳴器や共振器の意味があり、この円形の板、レゾネーターも、サックスの音響振動に共振したり共鳴して、サックスの「鳴り」を補助します。
またパッドが開いている状態では、トーンホールから放出される、サックスの管体内部の振動エネルギーを反射し、サックスの外部に導く効果を果たすため、「反射板」や「ブースター」等の名称も持っています。材質にはプラスチック、メタル等色々あり、円形の表面は真ん中がやや膨らんだ、ドーム型をしているものが多いようです。
アメリカの木管楽器修理用品サイト、「MusixMedic」のレゾネーターカタログには、いくつかの金属やプラスチック材質の他、フラット型、ドーム型、菊の模様のような波型構造等、13種類以上のタイプがラインナップされています。一般的にレゾネーターは、プラスチックだと「落ち着いた音」、金属製だと「明るくハッキリした音」という説明が多いようですが、
色々な種類やパッドへの取り付け方でもサウンドが変化するので、サウンドにこだわるプロサックス奏者の中には、「自分の好みのレゾネーター」に、オリジナル(サックス製造時についているもの)から交換する方も多いようです。
現行機種のサックスには、通常プラスチック製のレゾネーターが付いたパッドが使用されていることが多いようですが、ジャズやポップス市場を意識したYAMAHAの82Zシリーズでは、ヤマハのサックスで初めてメタルレゾネータータンポを採用し、より一層クリアな音色と反応性の向上を実現したと謳っています。
また、石森管楽器のサックス、New Vintageシリーズも、メタル・レゾネーターを採用しているようです。ヴィンテージサックスの名器、セルマーのMark VIでは、製造番号8万番台まではメタル・レゾネーター、9万番台以降はプラスチック・レゾネーターのパッドが使用されていると言われています。
現行セルマーのスーパーアクション80シリーズII、セリエIIIはメタル・レゾネーターですが、マークVIの復刻版として登場したReference 36や54ではプラスチック・レゾネーターを復刻させました。とはいえ、各社あまりレゾネーターの材質をことさら強調するケースは少なく、予告なく仕様変更する場合もあるので、上記はあくまで一般の噂程度とご了承ください。
単にレゾネーターの形状と材質のみで、サックスのサウンドが希望の方向へ変化する、という考えはあまり正しいとは言えませんが、サックス全体のサウンドバランスの「傾向」が変化するのは事実でしょう。ただ基本的に、レゾネーターの交換、イコール全パッドの交換になりますので、レゾネーターの変化によるサウンド改造は、全パッド交換のオーバーホール時にすることになると思います。
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