サックスという楽器は、かなり複雑なメカニズムを持っています。一般的なアルトサックスで約600点の部品から構成されています。その膨大な数の部品が、ひとつひとつ各々の役割を果たし、私たちサックス奏者の演奏をサポートしてくれています。また数多くのサックス関連アクセサリーも販売されています。サックスやアクセサリーを細かく解剖し、それぞれの部品の役割を探ってみましょう。今回のテーマは「人口リード」です。
「10枚入りの箱を買ったら、使えるリードは3枚きりだった。おい、1枚いくらだよ!」、「乾燥状態から良い音が出るまで時間がかかり、湿らせたままにしたらカビが生えた」、「演奏中に先端が割れて、舌切った」、等々、サックス奏者のリードに関する不満、怒りは星の数ほどあります。
「いくら天然の植物が素材だからって、これほどサックス奏者を困らせる必要はないだろう。人工的な工業製品で何とかならんのか!」、というのはサックス奏者の大昔からの願望です。
そして開発されたたぶん最初の人工リードは、かつてのRICOから発売された「Plasticover Reed」だったと思います。天然リードの「皮」以外の部分を黒い合成樹脂でコーティングし、天然リードを強度補強、耐水性向上させるという製品です。一時製造中止されたようですが、またダダリオブランドで販売しています。人気スムースジャズサックス奏者の、デイヴ・コーズが好んで使用していることが有名です。
その後人工樹脂主成分のリードが競って発売され、プラスチック製リードの定番、BARI(バリ)、また人工繊維を利用したFIBRACELL(ファイブラセル)等が人気を博しました。
その後多くのメーカーから、続々と人工リードが発売されました。ポリプロピレン樹脂に竹材パルプのセルロース繊維を混合した「Forestoneリード」。ポリプロピレン素材に特殊な延伸処理を施し、コンピュータ制御の精密3D切削機を使うことで、ケーンリードの80%の厚さで、より高い硬度を実現した「Legere シグネチャーシリーズ」。
画期的な製法で高性能低価格を実現した「BRAVO」リード等、数々の優れた人工リードが、多くのサックス奏者に使用されるようになり、人工リードはケーンリード(天然リード)に負けないリードとして評価されるようになりました。
ごく近年では楽器大手、ヤマハの手頃な価格帯「シンセティックリードSRシリーズ」。リガチャーで一世を風靡したシルバースタイン社の、天然ケーンと同様に水分を吸収する吸湿性樹脂“アンビポリマー”を使用し、豊かな倍音成分サウンドを実現し、6ヶ月保障まで実現した「ALTA AMBIPOLY REED:アルタ・アンビポリ ・リード」。そしてポリマーファイバーとケーン粉末を組み合わせ、天然リードのような吹奏感と自然な温かみのサウンドを実現した、ダダリオの新製品、「VENN(ベン)」等が次々と発売されています。
輸入天然リードの価格も値上げ傾向にあり、そして何より世界的な気候変動がリードの材料、ケーンの栽培にも変化を生じさせている現代、サックス奏者は人工リードに注目せざるを得ない時代なのではないでしょうか。
——————————————————————————————–
⇒『 AIZENより 新生活応援キャンペーン♪ 返品保証30日+豪華3大特典付き』
⇒『AIZENお客様の声キャンペーン!』
この記事へのコメントはありません。