サックスという楽器は、かなり複雑なメカニズムを持っています。一般的なアルトサックスで約600点の部品から構成されています。その膨大な数の部品が、ひとつひとつ各々の役割を果たし、私たちサックス奏者の演奏をサポートしてくれています。また数多くのサックス関連アクセサリーも販売されています。サックスやアクセサリーを細かく解剖し、それぞれの部品の役割を探ってみましょう。今回のテーマは「ベルステー」です。
サックスのベルと本体を繋いでいる部品がベルステーです。ベル支柱と言ったり、英語では「Bell to Body Brace (ベルから本体への支柱:まんまですね」や「Bell Brace」などと呼んだりもします。
サックスの部品の中でもかなりの重さを有する「ベル」は、どこかに固定しておかないと、U字管との接合部に多大な負荷がかかります。ベルステーが無ければ、「演奏中にベルが飛んだ」なんて事故が起こりかねません。
そんな重要な構造体の「支柱」なのですが、最近ではこの支柱のネジを洋白製などにして、サックスの音質向上を図るアクセサリーが販売されており、このベルステーが響きに影響を与える、結構重要な部分という認識がされつつあります。支柱自体の形状によって響きに差があるとも言われており、時代によって、またメーカーによっていろんなかたちの支柱があります。
1920年頃のほとんどのサックスでは、ベルステーはまだ「ただの棒」です。1940年代までのサックスはメーカーに限らずほぼ同じ棒形状です。
老舗マーチンを代表する機種、「Committee (コミッティー)」は1940年から30年間という長期間製作されたモデルですが、現代の楽器とはベルの反対側にあるB♭とBのトーンホールカバーがベルステーを兼務しています。同質の太いワイヤによる補強支柱も付いていますが、このサックスの最大の魅力であるハスキーな哀愁溢れるサウンドに、ある程度影響を与えていると思われます。
初期のヤマハやニッカン時代のヤマハモデルに多いのは、板状のプレートにメーカーロゴ、という形です。やがてU字型のベルステーになり、現在ではほとんどの機種がO字円形ステーの2点留めが主流です。
セルマーはSBAもMark VIも、ベルステーは円形2点留めでしたが、SA 80で円形3点留めに替えたようです。最新モデルのシュプリームやシグネチャーでも円形3点留めになっています。限定モデルの「シュプレーム“Modèle 2022”」には、円形ですが内部に斬新な意匠が施された支柱が付けられています。
群馬県にある中島楽器のオリジナルブランド「buzz」は、多くの管楽器音質改善パーツを出していますが、洋白製のベルステー固定ネジを販売しています。管全体の振動の効率を高めることが出来、音の輪郭や倍音、鳴りの向上が得られるそうです。
またチタン、ステンレス、銀、洋白等を材質にしたオリジナル管楽器パーツを製作しているEarrs Sax (イヤーズサックス)では、純チタン削り出しによるハンドメイドの「純チタン 3点支柱止めネジ」を製作しています。振動率が向上するため、楽器全体の響きが改善されるそうです。やっぱりこのへんでも、「たかがネジ、されどネジ」なんですね。
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