サックスという楽器は、かなり複雑なメカニズムを持っています。一般的なアルトサックスで約600点の部品から構成されています。その膨大な数の部品が、ひとつひとつ各々の役割を果たし、私たちサックス奏者の演奏をサポートしてくれています。また数多くのサックス関連アクセサリーも販売されています。サックスやアクセサリーを細かく解剖し、それぞれの部品の役割を探ってみましょう。今回のテーマは「リガチャーバランサー」です。
サックスの音の源泉、リードをマウスピースに固定するための部品、「リガチャー」は、一見マウスピースに「リードをくくり付けるだけの部品」、としか思えないものですが、現代の多くのサックス奏者は、リガチャーの構造やデザイン、材質が、サックスのサウンドや吹奏感に、どれだけ大きな影響を与えるかを知っています。
そしてその新デザインの登場や変遷を追うと、リガチャーの変化と進歩の歴史が見えてきます。そしてそのリガチャーの進化の中で、非常に特徴的なキーとなるものが、「リガチャーバランサー」です。リガチャーの進化と、バランサーの役割を振り返ってみましょう。
サックスの先祖、クラリネット登場当時のリガチャーは「紐(ひも)」です。マウスピースにリードをセットし、細い紐でぐるぐる巻きに固定していました。
やがてサックスが登場する頃には、現在も存在するオーソドックスなリガチャーの形、薄手の金属のベルトと小さなネジでリードを締め付けるリガチャーが登場します。いわゆる「順締め2本ネジ」が長らく主流でしたが、ご存知オットーリンクやロートン等の「垂直締め」も人気がありました。この時代のリガチャーの性能の焦点は、あくまでも「セットのし易さ」や「緩まない堅牢さ」でした。
しかし今から20年ほど前、リガチャーの役割を大きく変えたリガチャーが、新興メーカー、ブルズアイから発売されました。順締め2本ネジのリガチャーに、大きな金属の塊、「バランサー」を取り付けることにより、リガチャー中央部の振動を抑え、吹奏感の改善や、音の立ち上がり、サウンドの均一性向上を謳ったものでした。
斬新な思想を具現化したブルズアイリガチャーは、発売当初から多くのサックス奏者の支持を受けました。そして「マウスピースの振動特性を、積極的に変化させる」という、リガチャーの新しい役割が、リガチャーのデザインや設計に強く織り込まれるようになりました。
もちろん他のリガチャーメーカーも、形状の工夫で「積極的な性能改善」は試みていましたが、明らかな「錘(おもり)」を付けたのはブルズアイが最初だったようです。
それからのリガチャーの変遷や進歩は目覚ましいものがあります。近年人気のシルバースタインのリガチャーでは、「チューナーバー」と呼ばれる金属柱を、マウスピースのどこに接触させるかでサウンドの変化を調整します。これもバランサーの一種でしょう。
エディ・ダニエルズのエクスプレッションシリーズは、リードのプレッシャープレートに大きな金属板を採用し、振動周波数の調整をしています。ハリソンのiRリガチャーは、ネジ部分の隙間にアイデア・リングという専用リングを挟むことで、吹奏感や振動効率を改善させます。
Gottsuのシグネチャー・リガチャーは、リードプレートがベース部をアーチ状にまたぎ、そこに大きな特殊ネジを付ける事でサウンドの調整を可能にしています。これらはリガチャーバランサーが実現した、リガチャーの機能改革と言えるでしょう。
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