サックスには多くの種類があります。一般的な楽器屋さんに並んでいる4大サックス、アルト、テナー、バリトン、ソプラノに加え、ちょっとレアなソプラニーノ、バス、また特殊サックスの部類に入るソプリロ、ストレートアルト、チューバックス、サクセロ等を入れたら、かなりの種類になります。
各々のサックスには、それぞれ独自の個性や表現力があり、それぞれのサックスの奏者はその独特な世界を堪能しています。
今日はそんな数多くのサックスの中から、テナーサックスに焦点を当て、その魅力ある世界をご紹介しましょう。
テナーサックスは「男っぽい」と良く言われます。まあまあ重量級のその大きさ、そして大きさゆえの「必要な息の量」等を考えると、吹きこなすためにはある程度の「体格・体力」が必要だからでしょう。
確かに女性サックス奏者はアルトがメインな方が多いようですが、ロック系ホーンバンド、「THE THRILL」の女性テナー奏者の草分け、YUKARIE姐さんや、米澤美玖さんなど、超カッコ良くテナーサックスを吹きこなしている女性サックス奏者も少なくありません。
テナーサックスの男っぽさの中には、荒々しさを指摘するひともいるようです。テナーサックスのサウンドは吹く奏者によって大きく変わり、本当に幅広いサウンドカラーが存在します。良く言えば個性的、悪く言えば不安定なサウンドが、テナーサックスの特徴とも言われています。
サックス本体、マウスピース、セッティング、奏者の体力等、あらゆる要素がサウンドを大きく変化させるので、「この音はこのプレーヤーの音だな」、と特定するのも困難です。
ジャズテナーの巨匠、ソニーロリンズなどは、その長い演奏経歴の中で目まぐるしくサウンドが変わっています。名演層を集約したベスト盤音源では、まるで別の奏者が吹いているかのようにサウンドが変わっています。そんなテナーサックスだから、「人間臭い」なんて言い方もされるのでしょう。
このような、「暴れ馬」的なテナーサックス故に、吹き方にも個性的なものが多用されます。吹きながら喉で唸り声を出す「グロウル(またはグローイング)」は、テナーサックスの飛び道具と言っても良いでしょう。犬の威嚇のように、低い音を「ガルルルル」と発するサウンドは、ロック系では必須のテクニックです。
またジャズサックスでは必須の「サブトーン」も、テナーサックスの代名詞のような奏法です。アルトでもソプラノでも、またバリトンでもサブトーン奏法は使用されますが、テナーのそれはまた別格です。むせび泣くような、ため息のような、囁くようなサブトーンは、テナーだからこそ表現出来るサウンドでしょう。
ジョン・コルトレーンの演奏で有名になった、主音と同時に倍音を乗せ、いくつかの音を同時に発する重音奏法(マルチフォニック)は、他のサックスでも使用されますが、やはりテナーサックスのそれには独特の味があります。
フラジオ奏法やポルタメント、フラッター等の特殊奏法も、テナーサックスだと独特なニュアンスが出ます。テナーサックスは、良くも悪くも個性的だと言えると思います。
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