サックスという楽器は、かなり複雑なメカニズムを持っています。一般的なアルトサックスで約600点の部品から構成されています。その膨大な数の部品が、ひとつひとつ各々の役割を果たし、私たちサックス奏者の演奏をサポートしてくれています。また数多くのサックス関連アクセサリーも販売されています。サックスやアクセサリーを細かく解剖し、それぞれの部品の役割を探ってみましょう。今回のテーマは「ケーンリード」です。
リードが無ければ、サックスは音が出せません。従ってリードはサックス奏者にとって、とても重要な部品です。近年では合成樹脂等で作られた人工リードも数多く販売されているため、従来型の植物材料のリードは、「ケーンリード」と呼んで区別されます。
ケーンリードの材料、「ケーン」とは、茎が硬く木質化する、藤、竹、シュロ、サトウキビ、葦(アシ)などの総称です。楽器に使用する振動材料としての特性を向上させるため、特別な栽培方法で育てたケーンは「ミュージック・ケーン」と呼ばれます。ミュージック・ケーンはフランス、アルゼンチン、スペインなど世界各地で栽培されています。ケーンは根茎から育てられ、約2年で収穫出来るようになります。
必要な太さと強さに成長したケーンは、繊維を破壊しないよう手作業で刈り取られます。刈り取ったケーンの皮をむき、定尺にカットし、天日乾燥し、その後通気の良い倉庫で約2年保管・乾燥したうえで、リードとしての加工作業をおこないます。
ケーンのリードへの成型は各リードメーカー独自の方法で高精度に加工されますが、番手の違いで異なる形に成型されるわけではありません。一般的には、すべての材料を同じ形状に加工した後、熟練の職人による最後の検査調整工程において、1枚ずつコシの強さを測定し、そこでリードの番手を決定し選別します。
ケーンリードの保管は、大きく乾式と湿式に分かれます。新品のリードを演奏に使用した後、それを乾かして保管するか、湿り気を保って保管するかの違いです。使用したリードをそのままマウスピースにセットしたままで保管したり、また通常のリードケースに収納した場合、リードは次の使用まで乾燥状態で保管されるので乾式保管です。
それに対し、「一旦水分を含んだリードは、乾燥させるべきではない」という考え方から、保湿剤付きマウスピースキャップを使用したり、リードケースに湿度コントロール剤を入れたりして、「リードを乾かさない」のが湿式保管です。
どちらが良い、という結論は出ておらず、それぞれのサックス奏者の独自の考えのもと、色々な方法でリード保管はされています。
ケーンリードはその性能を向上させるため、奏者自ら調整をするのが一般的です。リード先端をカットするリードカッター、リードを削るリード・リサーフェサーやリード・ギーク等のリード調整用グッズが数多く市販されています。
湿地帯に自生する、やすりのような表皮を持つ「砥草(トクサ)」は、古くからリードの調整に使用されている植物です。また紙やすりや、割れた陶器の破片でリードを調整するサックス奏者も多いようです。
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