サックスには多くの種類があります。一般的な楽器屋さんに並んでいる4大サックス、アルト、テナー、バリトン、ソプラノに加え、ちょっとレアなソプラニーノ、バス、また特殊サックスの部類に入るソプリロ、ストレートアルト、チューバックス、サクセロ等を入れたら、かなりの種類になります。各々のサックスには、それぞれ独自の個性や表現力があり、それぞれのサックスの奏者はその独特な世界を堪能しています。
今日はそんな数多くのサックスの中から、ソプラニーノに焦点を当て、その魅力ある世界をご紹介しましょう。
ソプラニーノは、アルトサックスのオクターブ上の音域をカバーする、E♭調のサックスです。ソプラノサックスより4度高く、ストレートソプラノの3/4程の長さです。低価格帯からプロ用まで、多くのメーカーが製造販売をしていますが、ほとんどがストレートタイプです。
イタリアの老舗サックスメーカー、Rampone&Cazzani(ランポーネ&カッシーニ)社が受注生産モデルとしてカーブド・ソプラニーノを製造していますが、100万円を超える高価格サックスです。高音域の音は周波数が高いため、その波長がどんどん短くなってきます。それゆえにスケール上の隣り合う音の波長の差が少なくなり、ちょっとした奏法の変化で、音高がブレ、それが如実に音に表れます。そのために高音域のサックスは音程を正しく演奏するのが難しく、ソプラノサックスの音域でも、「耳が良くないと吹きこなせない」と言われます。
そのソプラノより4度高いソプラニーノは、音程を取るのがより難しく、サックスアンサンブルでたまに見かけますが、ソロ楽器としてはあまり目立つ存在ではありません。そんなソプラニーノをステージで使用し、一躍有名にしたのがジャズサックス界の重鎮、渡辺貞夫です。1977年発売のアルバム、「My Dear Life」中の同名曲、「マイ・ディア・ライフ」で渡辺はソプラニーノを使用し、美しいメロディを演奏しています。
もともとこの曲は1972年から1989年まで、FM東京で放送されていた彼のジャズ番組、「マイ・ディア・ライフ」のテーマ曲でした。当時ジャズと言えば「ナベサダ(渡辺貞夫の呼称)」で、ジャズファン以外の人々の間でも「マイ・ディア・ライフ」はヒットし、多くの人々にソプラニーノの存在と、その音の美しさを広めました。ナベサダに憧れてサックスを始めた人達の中には、いきなりソプラニーノから始めるという、かなり無謀な方々も少なくなかったようです。
正しい音程での演奏の難しさを別とすれば、ソプラニーノは小さく、重量も軽く、携帯に便利で、キー操作もし易いサックスです。一流メーカーのソプラニーノは皆50万円以上してしまいますが、廉価版のソプラニーノであれば7万から9万円程度で入手可能です。マウスピースも小さい為、最初は音を出すのも大変ですが、慣れれば音は出せます(音程は別です)。
ソプラニーノのリードは、あまり楽器屋さんに置いてありませんが、Esクラリネットのリードが代用出来ます。ちょっとサックスで遊んでみたい、という目的には結構合っているかもしれません。しかし人前で吹いたり、合奏をするには、かなりの努力が必要なのでご注意を。
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