サックスという楽器は、かなり複雑なメカニズムを持っています。一般的なアルトサックスで約600点の部品から構成されています。その膨大な数の部品が、ひとつひとつ各々の役割を果たし、私たちサックス奏者の演奏をサポートしてくれています。また数多くのサックス関連アクセサリーも販売されています。サックスやアクセサリーを細かく解剖し、それぞれの部品の役割を探ってみましょう。今回のテーマは「ライアーレシーバー」です。
「ライアーレシーバー」、聞きなれない言葉だと思います。セルマーやキャノンボールなどのサックスでは、ネックスクリューのすぐ横、反対側にあるネジがライアースクリュー、それが締め付けている、本体に対し縦に開いている「穴」の周りがライアーレシーバーと呼ばれる部品です。またヤマハやヤナギサワ、クランポン等のサックスでは、2番管(本体)左側のネックジョイントから少し下がったところに、独立したネジ付きの縦穴の部品が溶接されており、ここがライアーレシーバーです。
「いや、場所は分かったけどライアーって何?」、そうですよね。ライアーというのは管楽器全般で使用されている、竪琴の型をしたクリップとそれを支える棒で出来た、「楽器装着型小型譜面台」です。マーチングバンドのように行進や立奏をする際に、楽器に小さな楽譜を取り付けて、それを見ながら演奏するためのものです。
ライアーとは英語で「Lyre:ライア」、竪琴の意味です。ライアーのクリップ部が、古代ギリシャの竪琴を模したデザインなのでこう呼ばれています。サックスやトランペットでは、ほとんどのモデルがライアーレシーバーを装備していますし、クラリネットやトロンボーンでは、ライアー装着用金具が各種発売されています。
ただライアーを付けて演奏する姿は、最近はあまり見かけません。ほとんどのマーチングバンドのメンバーは皆、暗譜して楽譜無しで演奏していますよね。ライアー自身もネットで探せばヒットしますが、楽器店では見かけることはほとんどありません。サックスのライアーレシーバーについても「あるだけ」状態な感じですし、音質改善部品を挟んだり、ライアースクリューをやはり音質改善用の特殊スクリューに変更するといった事例、また「いらないし」とライアースクリューを外してしまうサックスユーザーも多いようです。
まあ、近年ではライアーレシーバーを備えていないモデルのサックスも、多数発売されています。老舗サックスメーカー、セルマー社のサックスには、歴代のどのモデルにもライアーレシーバーが装備されていましたが、最近発売された「Supreme」や「Signature」では、新デザインのニッケルシルバー製の独立ネックタイトニングリングが採用され、とうとうライアーレシーバーは無くなってしまいました。「着けたければアダプターで着けてください」、ですかね。
時代に歓迎されていないようなライアーとライアーレシーバーですが、デジタルの時代に上手に使いこなしているサックス奏者もいるようです。なんとライアーにスマホを挟んで、楽譜やコード譜を見たり、伴奏の音源を流しているようです。
「重くない?」と思いがちですが、設計上で熟考された、バランスの良い位置にライアーレシーバーがあるため、思ったほど重量負荷を奏者に感じさせないようです。凄いですね。
——————————————————————————————–
⇒『 AIZENより 音楽の秋キャンペーン♪ 返品保証30日+豪華3大特典付き』
⇒『AIZENお客様の声キャンペーン!』
この記事へのコメントはありません。