サックスには多くの種類があります。一般的な楽器屋さんに並んでいる4大サックス、アルト、テナー、バリトン、ソプラノに加え、ちょっとレアなソプラニーノ、バス、また特殊サックスの部類に入るソプリロ、ストレートアルト、チューバックス、サクセロ等を入れたら、かなりの種類になります。
各々のサックスには、それぞれ独自の個性や表現力があり、それぞれのサックスの奏者はその独特な世界を堪能しています。今日はそんな数多くのサックスの中から、バリトンサックスに焦点を当て、その魅力ある世界をご紹介しましょう。
バリトンサックスは、4大サックスの中では一番大きくて重いサックスです。単体で約6.5kg、ハードケースに入れると10kg以上になり、かなりの大荷物です。管体全体が太いので、トーンホールもかなりの大きさで、それを塞ぐパッドのカップも大きく、大きいお皿をバタバタ動かさねばならないキーアクションも、他の短いサックス達と較べると重くなってます。
左手の運指はまだしも、右手の運指はかなり重めで、また指のストロークもやや大きくなっています。背負っても、首から下げても重く、キーアクションすら重い、大型サックス、バリトンサックスの魅力はその低音域の表現力です。自分の吹くサックスとしてバリトンを選んだサックス奏者の100%が、バリトンのスピード感溢れる低音に魅了されて、バリトンを選択したと言って良いでしょう。
キーアクションはやや重めとは言え、決して鈍重(どんじゅう)な楽器ではありません。歴史に残る名バリトンプレーヤー、ハリー・カーネイ、ジェリー・マリガン、レオ・パーカー、サージ・チャロフ、ペッパー・アダムスらは、超高速のフレーズを軽やかに、流れるように歌っています。サウンドが少し籠った傾向になるバリトンサックスですが、重低音から高音域まで流れるように上下するフレーズは、まさにバリトンサックスならではのサウンドと言えます。
サックスは一般的に、そのサックスのキーの「シ♭」が最低音ですが、バリトンサックスには「Low A付」と「Low A無し」があります。現代の一般的なバリトンサックスは、ほとんどが「Low A付」で、サムレスト上側のAキーを押すことで、低い「ラ」を出すことが出来ます。
かつては管体が短く、軽いため、取り回しの良かった「Low A無し」のバリトンサックスがジャズシーンでは主役でしたが、1950年代の初頭、セルマー社が初めての「Low A付」バリトンサックスを作りました。Super Balanced Actionにオプション扱いとして受注したのが最初といわれてます。
その後のMark VIでは「A付」と「A無し」の両方を製造していましたが、ビッグバンド等、アンサンブル演奏の需要から、他のメーカーも「Low A付」を中心にラインナップを揃え、「Low A無し」は市場から徐々に姿を消していきました。
バリトンサックスは、ブラスバンドやクラッシック系の座奏では、U字管に取り付けたペグを床に着け、首から下げるのではなく、床に置いて演奏する奏者もいます。ただ、「床置き演奏はサウンドが変わる」と、ストラップでの「吊り下げ」演奏をするバリトン奏者も多いようです。
最近は「重さにへこたれない」バリトン奏者のほうが多いようです。重低音が魅力のバリトンサックスを吹くためには、その重さをいかに克服するかが、重要なカギになっているようです。
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