もう何十年も前の事です。吹奏楽演奏会の出番を前にして、メンバー全員がステージへ向かうとき、ある先輩に違和感を覚えました。みんな片手に楽器、そして片手に楽譜の束を持っているのに、その先輩は楽器を持っているだけで片手が開いています。なんとサックスパートのその先輩は、楽譜をサックスのベルの中に突っ込んで移動していたのです。
色んなものを「ベルイン収納」するのは、今ではサックス吹きの常識ですが、当時はその斬新な発想にびっくりしたものです。「楽器の中に何かを入れる」、なんて楽器の使い方は、誰も考えていない時代があったのです。
今やパック型の軽量サックスケースでは、サックスのネックは、ネックポーチに入れて当たり前のようにベルイン収納します。NONAKAの超軽量パックケースやMARCATO、BAM等のパック型ケースでは、最初からケースにネック収納部は作られておらず、ベルイン収納を前提に作られています。そのほうがケース全体が、断然小さくなりますからね。
テナーでもアルトでも、ネックは難無くベルイン収納出来ますが、アルトサックスのベルの容積では、マウスピースまでの収納は難しいようです。多くのパック型アルトサックスケースでは、ネックはベルイン、マウスピースは別にね、となっているようです。
収納容積の大きいテナーサックスのベルイン用には、WOODSTONEやPROTECHから、ネックとマウスピースが同時に収納でき、ベルインできるポーチが発売されています。BGからはネックにマウスピースを装着したまま収納するネックポーチが発売されており、テナーのベルの「奥の深さに」に感心します。
ちなみにバリトンサックスでは…。ベルの奥が深すぎて、何を入れても取り出しに難儀しそうなので、誰も何も入れようとはしないようです。バリトン吹きの友人が、「なんか音が変だな」とベルの中を覗いたら、リードがひと箱ベルの底に引っ掛かっていたそうです。トーンホールに食い込んでしまっており、ベル底のU字管のカップを取り外さなければ取れなかったそうです。
ベルイン収納が活躍するのは、ケース収納時だけではありません。冒頭で紹介したように、楽屋からステージへの移動時に便利な、「カバン替わり」にすることができます。数曲分の楽譜なら、丸めてベルインすることも可能です。この場合は、硬い表紙のクリアファイルなどに入れた楽譜では丸まらないので、むき出しの紙の楽譜がお勧めです。
スタンドを折りたたんで、ベルに入れて移動するサックス奏者も少なくありません。最近のサックススタンドはかなり小さく折りたためるものが増えており、K&MのスタンドSAXXYやハーキュレスのTravLiteスタンドは、ベルイン用に設計されていますので、カバーに入れてすっぽりとベルイン収納が可能です。
楽器の持ち替えが多いビッグバンドのサックス吹きのなかには、サックスのベルの中に、フルートやらクラリネットを差し込んで運ぶ強者もいます。ベル内に傷が付かないか心配ですが、専用のベル内カバーを持っている達人に会ったこともあります。こうなると、もう、カバンですね。
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