サックス 本体

サックス解体新書:パッド

サックスという楽器は、かなり複雑なメカニズムを持っています。一般的なアルトサックスで約600点の部品から構成されています。その膨大な数の部品が、ひとつひとつ各々の役割を果たし、私たちサックス奏者の演奏をサポートしてくれています。また数多くのサックス関連アクセサリーも販売されています。サックスやアクセサリーを細かく解剖し、それぞれの部品の役割を探ってみましょう。今回のテーマは「パッド」です。

日本語では「タンポ」とも呼ばれている「パッド」ですが、キーカップに取り付けられて、キーの操作でサックスのトーンホールを塞いだり開けたりする部品です。サックスという楽器は、トーンホールの開閉で管体の理論的長さを変え、それで音階を出す構造になっていますので、パッドはサックスの部品の中でも非常に重要なもののひとつです。サックスのトーンホールの数は通常25なので、それを塞ぐパッドは色々なサイズで25個使われています。
またサックスの使用によって、パッドには水滴が付着し、濡れた状態と乾燥状態が繰り返され、かつトーンホールのエッジに押し付けられたり離れたりと、物理的にハードに使用されますので、「消耗品」として定期的に交換しなければならない部品です。
パッドはサックスだけでなく、同じ木管楽器のフルートやクラリネット、オーボエ等にも使用されていますが、その素材や作り方、性能は様々です。サックスのパッドは、基本的に台紙と呼ばれる丸い厚紙にクッション材となる圧縮フェルトを重ね、これを包み込みこむようにヤギのなめし皮を張り、プラスチックや金属のレゾネーター(ブースター)と呼ばれる円盤状の板をその真ん中に張り付ける、といった形式で作られています。パッド全体のクッション性によってトーンホールを隙間無く塞ぎ、水分を適度に吸収し、レゾレーターでトーンホールからの空気振動を反射・共鳴して制御します。

サックスのパッドのメーカーは、イタリアのピゾーニ(L. Pizoni)、フランスのシャヌー(MARTIN-CHANU)が有名です。上級モデルに採用されることの多いピゾーニとシャヌーは、古くからセルマーのサックスに採用されており、現在では機種にもよりますが、ざっと柳沢:シャヌー、セルマー:ピゾーニ、キャノンボール等高級台湾系:ピゾーニ、ヤマハ:自社製またはピゾーニ、となっているようです。
アメリカの著名リペアマン、スティーブ・グッドソン(Steve Goodson)が開発した「Saxグルメパッド」は、カンガルーの革で作られたサックス用パッドで、見た目は黒く、強度と柔軟性に優れています。装着されるレゾネーターのバリエーションも多く、素材と形状パターンの組み合わせによって、奏者の多種な要望に応えられるようになっています。

前述のようにサックスのパッドは消耗品です。呼気の湿気に一番さらされる左手パームキーのパッドは、半年から一年に一度の新品交換が必須です。
ネックから遠いほど湿気の影響が少なくなるので、寿命は長くなりますが、破れたり硬化したり、またトーンホールエッジ面に接触する部分に取れない汚れが付着した場合などは、即交換が必要です。パッドの交換で、びっくりするほどそのサックスのサウンドや吹奏感、そして性能が改善する場合があります。パッドコンディションには常に神経を使ってください。

 

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