サックスという楽器は、かなり複雑なメカニズムを持っています。一般的なアルトサックスで約600点の部品から構成されています。その膨大な数の部品が、ひとつひとつ各々の役割を果たし、私たちサックス奏者の演奏をサポートしてくれています。また数多くのサックス関連アクセサリーも販売されています。サックスやアクセサリーを細かく解剖し、それぞれの部品の役割を探ってみましょう。今回のテーマは「彫刻」です。
サックスのような金属製の管楽器には、管体表面に彫刻を施したモデルが一般的です。彫刻の無いモデルは少し安価に設定されていることが多く、サックスの場合、パッドやネックにまで彫刻を施したモデルもあり、「特別彫刻モデル」として高価格モデルに設定されています。
特別彫刻モデルは「バリ刻(バリバリに刻印の意(?))なんて呼ばれ方もしているようです。管楽器が楽器であると同時に、美しい工芸品でもあるところは、この彫刻の効果が大きいと言えるでしょう。
管楽器の彫刻(Engrave:エングレーブ)は、木彫や石彫のように「削っている」のとは少し違います。数種類の狭い幅のノミ(イメージとしては彫刻刀の平刀(ひらとう)に近いです)を、表面処理された金属の表面でジグザグに動かし、ラッカーやメッキの表面に傷をつける事で、目の詰まったジグザグ模様で「線」を表現します。ほんの浅い傷なので、メッキやラッカーを削り取って、地金の真鍮が露出するほどの深さにはなっていません。あくまで「表面を傷付けている」程度です。
彫刻の模様は管楽器メーカーによって独自の図柄が設定されていますが、時代やそのモデル個性、また彫刻職人の違いによって様々なため、彫刻の図柄でいわゆる「アメセル」と「フラセル」を見分ける、なんてことも出来るようです(確定は出来ないというのも通説です)。
ほとんどの管楽器彫刻の図柄は、流れるような線で構成された花やツタなどの植物系、リボン系が多いようですが、変わり種としては、ヴィンテージコーンの「Naked Lady(裸の女性)」や、建物や船などもあります。
近年ではユニークなデザインコンセプトのモデルを数多くリリースしているサックスメーカー、キャノンボールのサックスの彫刻は、薔薇やホワイトタイガーなど、ユニークで美しいデザインが多種見られます。彫刻を楽器に施してくれる工房に依頼すれば、自分独自の彫刻デザインの楽器も作れますし、メーカーによっては受注生産モデルの彫刻を、注文者の依頼に応じたデザインで彫ってくれるサービスもあります。最近の管楽器メーカーは、手彫り彫刻とレーザー彫刻を、図柄や部分に応じて組み合わせておこなっているところも多いようです。
ピカピカでツルツルな表面を多く持つ管楽器では、芸術的な表現だけでなく、傷や汚れ、サビなどの表面劣化を目立たなくするため彫刻を施す、という彫刻の目的もあるようです。しかし良く言われる、「楽器管体表面の振動特性を変化させ、音色を変える」というような効果は、彫刻が金属部分にまで到達している訳ではないので、科学的にはあまり根拠は無いようです。
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