サックスという楽器は、その音域によって多数の種類があります。
一般的なサックスは低いほうからE♭キーのバリトン、B♭のテナー、E♭のアルト、B♭のソプラノの4種類がよく知られていますが、低いほうではB♭のバスやE♭のコントラバス、高いほうではE♭のソプラニーノ、B♭のソプリロもあります。
サックスの楽器操作という点では、高音域なサックスほど音程が取り難くなり、演奏に難易度が上がると言われています。音が高くなると音の周波数の波長が短くなるため、ちょっとしたアンブシャの変化やコントロールで、大きく音程がぶれてしまうからです。この難しいサックス、「高音系サックス」についてお話しします。
テナーサックスの1オクターブ上を受け持つソプラノサックスは、多くのサックス奏者に馴染みが深いことでしょう。テナーサックス奏者やアルトサックス奏者の持ち替え楽器としてもメジャーなソプラノサックスには、まっ直ぐなストレートタイプとアルトのように曲がったカーブドタイプがあります。
ストレートタイプはソプラノの特徴でもある、音域による音質の変化が顕著な硬質なサウンドで、とても「ソプラノサックスっぽいサウンド」であるのに対し、カーブドタイプはサックス属らしいまろやかなサウンドを持っています。
ストレートソプラノにはネックが取り外せるデチャッチャブルネック型とネック一体型があります。現在多くのソプラノがデチャッチャブルネックタイプですが、ヴィンテージの名器、セルマーMk VIやヤマハの82Z、ヤナギサワのS-WO1、Kenny Gブランドのソプラノ等は、ネック一体型を採用しており、ジャズ・ポップス系ソプラノ奏者に人気があります。
ジャズサックスの巨匠、故ウェイン・ショーターが作成させたと言われる、ネック一体型でネックが曲がったヤマハYSS-62Rは、その独特なサウンドでヴィンテージとなった今も人気が高く、ヤマハはこの特徴を踏襲したYSS-82ZRをリリースしています。
アルトの1オクターブ上の音域をもったソプラニーノは、かつては数社しか製造していませんでしたが、製造技術が進歩した今では、多くのメーカーがラインナップを拡充し、廉価版のサックスでもソプラニーノが販売されています。ただし音程のコントロールが非常に難しく、相当な楽器コントロールの技が無いと、「音楽」として演奏するのが困難です。
日本のジャズサックスの先駆者、渡辺貞夫は若いころからソプラニーノの使用を好み、多くの名演奏を録音に残していますが、それに憧れたアマチュアがソプラニーノを買ってコピーに挑戦し、演奏の難しさで挫折する、というのが「ソプラニーノあるある」です。
ドイツのサックス工房、エッペルスハイムはソプラノの1オクターブ上の音域をもつ超高音域サックス、「ソプリロ」を製造しています。全長309ミリで管体重量は371グラム、ソプラノの中音B♭から2オクターブ上の超高音E♭までが出せます。あまりにも全長が短いので、本来はネックに付くはずの第2オクターブキーが、マウスピースに開けた小さな穴を開閉する仕組みになっています。
メーカー自身が、「ソプリロは、その極限的ともいえる運指ポジショ ンと、強靭なアンブシァが必要不可欠であるため、熟練のプレーヤーのみが使用できる楽器です。」と解説しています。高音域のサックスサウンドは、美しく夢のような響きを聴かせてくれますが、それを「出す」のは、とっても、とっても、とっても大変なのです。
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