サックスやクラリネット、またフルート等の木管楽器には「替え指」という運指があります。
音階を出すために用意された標準的な指の押さえ方、主たる運指に対し、いくつかの音がそれらとは別の運指で出すことが出来、それを替え指と言います。いくつかの替え指は楽器の設計時に、Bis,キーやTfキーのように独立したキーとして、替え指キーが用意されているものもあります。
また通常運指とは全く違う指の組み合わせで、狙った音を出す替え指もあります。奏者はこれらの替え指を、自分の演奏時の選択肢としてマスターすることで、曲を演奏する場合の指の操作スピードや、音の高さの正確さ等を、より良いものすることが出来ます。
サックスの習い始めのときに習得した運指は、サックスの操作のすべてではありません。音楽フレーズを吹く段階になったら、フレーズに応じた「適切な運指」を選ぶのも、演奏技術を向上するうえで重要です。まず初歩的なスケールを例にすれば、半音階の上昇スケールと下降スケールでは、異なる運指を使用するほうが賢明です。
ファ→ファ#→ソは、人差し指→中指→解放という右手指の動きより、人差し指→薬指F#→解放の運指をすれば、人差し指と薬指が交差する「クロスフィンガリング」を回避することが出来ます。またラ→ラ#→シは、左中指→左人差し指+右人差し指→左人差し指より、左中指→右パームB♭→左人差し指を使うほうがスムースです。しかし下降する場合は、いずれも標準運指のほうが素早く動けるでしょう。
また同じ音の変化を繰り返す「トリル」の場合も、右手パームキーのサイドC、サイドB♭、薬指F#等を使います。これらのキーはクラッシック系の運指表ではTc、Ta、Tfと表記され、まさにトリル(T)のためのキーとして扱われています。
また音の高さを補正する替え指もあります。一般的に下がり気味な真ん中のド#は、通常運指にパームCまたは左薬指を加えることで高さが改善されます。またオクターブ上のド♯は上がり気味になりますが、右人差し指/中指/薬指を閉じることで改善される場合があります。フレーズ中の経過音として使用するには、少々難しい運指ですが、キメの伸ばしの音等で正確な音程が欲しい場合は、必須な替え指です。
音の高さを補正するための替え指は無数にありますが、サックスの構造から来る基本的な理屈は、音を下げたい場合は楽器の穴を閉じるキーを使う、そして音を上げたい場合は楽器の穴を開くキーを使う、です。このポイントを意識して、自分の替え指を探すのも面白いと思います。
通常運指は、奏者が意識しなくても、音のイメージに対して自然に指が動くことが重要です。「ドはこれ、ミは、あ、こうだっけ」なんて考えていては曲は吹けません。息をするように、自然に指の形が変化して、出したい音の運指が速やかに出来ている、のが理想です。同じように替え指も身体に覚え込ませましょう。
もちろん無数にある替え指ですので、すべてを身体に覚え込ませるのは大変です。最も有効な替え指の練習方法は、フレーズや曲の練習の段階で色々と替え指の利用の要否をじっくりと研究し、「ここのフレーズではこの替え指を使おう」などと「運指の作戦を研究・立案」することです。そうすればその替え指は、練習を繰り返すことで身体に馴染んでいきます。替え指はその効果とデメリットを熟考し、準備し、練習を繰り返すことが重要です。
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