サックスの練習中、単音で吹いているときはきれいな音が出せるのに、スケールやフレーズを吹き始めた途端、やたらとミストーンが出る、といった経験をしてませんか。
リードがピキっとひっくり返ったり、音が変に濁ったりと、このような「謎のミストーン」は、サックスの初心者のみならず、ある程度練習を積んだ中級者でも起こり得る現象です。これはあなたが、「サックスに息を入れ続けている」ことが原因となっている場合が多いようです。
今回は音を止める。音のお尻をしっかり作って、サックスにうまく鳴ってもらうためのコツをお話しします。
サックスは楽器ですので、「鳴りたがって」います。楽器としてのサックスはその機能として、音楽理論上のスケールの音を、出し易い工夫がなされた道具です。サックス奏者は、サックスを鳴らしているというより、鳴ってもらっている、と考えるのが良いかもしれません。
奏者が「ミ」の音を出しているとき、サックスは「ミ」の音を出すことに専念しています。その状態のまま、つまり息を吹き込み続けた状態で、アンブシャも変えずに運指を「ラ」の指にしたら、サックスは戸惑い、ある意味パニックになります。それがフレーズ中のミストーンの原因です。
気持ちよく「ミ」で鳴っていたサックスが、急に条件を変えられて戸惑い、結果リードが裏返ったり、音が濁ったりするのです。サックスに単調に息を入れ続け、アンブシャの締め方も変えずに運指だけを変えると、サックスの挙動は非常に不安定になります。
サックスという楽器を戸惑わせずに、別の音に移行させるための奏法が「タンギング」です。ほとんどの管楽器奏者がタンギングを「音の始まり」とだけ考えていますが、フレーズの中ではタンギングの直前は始まりの前、つまり前の音の終わりです。音をしっかりと終わらせ、次の音にサックスを導く手段がタンギングです。
サックスの奏法で言うハードタンギングであれば、息の流れもリードの振動も一旦しっかりと終わらせます。ハーフタンギングであれば、リードの振動の主たる成分だけ止め、次の音に緩やかに繋げます。色々なタンギングテクニックはありますが、音の止め方について考えれば、「次の音に導くために前の音を案配良く止める」という役割については共通です。
この考え方で、フレーズ中のミストーンを軽減させる練習は簡単です。フレーズの練習をゆっくりから始め、しっかりと直前の「止め」を意識したタンギングを繰り返します。フレーズの音の感覚をどんどん早くしていき、タンギングのタイミングをそれに見合った素早いものにしていきます。
音の止め方を意識するだけで、人間の身体はしっかりと適切に反応してくれ、たぶん適切な音のコントロールを、無意識のうちにしてくれるようになるはずです。「音の終わり」を意識すると、アンブシャも適切な変化をするようになります。強いボクサーがよく言う、「相手のパンチは打つ前に分かる」というのに似た、人間の身体の瞬間反応の仕組みゆえでしょう。
音の終わりを意識したタンギングをするだけで、あなたの吹くフレーズの音が格段にきれいになるはずです。騙されたと思って、ちょっと意識してみてください。
——————————————————————————————–
⇒『 AIZENより 新生活応援キャンペーン 返品保証30日+豪華3大特典付き』
⇒『AIZENお客様の声キャンペーン!』
この記事へのコメントはありません。