サックスという楽器は、かなり複雑なメカニズムを持っています。一般的なアルトサックスで約600点の部品から構成されています。その膨大な数の部品が、ひとつひとつ各々の役割を果たし、私たちサックス奏者の演奏をサポートしてくれています。また数多くのサックス関連アクセサリーも販売されています。サックスやアクセサリーを細かく解剖し、それぞれの部品の役割を探ってみましょう。今回のテーマは「リードケース」です。
サックスの演奏に欠かせない重要な部品、「リード」を安全かつ好条件で保管するためのアクセサリーが「リードケース」です。かつてリードケースというと、薄く平たい箱の中にガラスが敷いてあり、その上にリードを並べて保管する、というものがほとんどでした。しかし現在では、個性豊かな工夫がなされた「リード保管器具」が数多く出回っています。リードの平面性の維持に加え、リードの湿度にまで配慮がなされたものも数種類出回っています。
リードの湿度コントロールに着目した先駆者は、ダダリオ社のリードヴァイタライザでしょう。リードケース内に「保湿剤」を入れることで、リードの状態をコントロールします。保湿パックには湿度84%、72%、58%の3種があり、84%は常に即本番で使用できる状態にリードを湿らせておきたい奏者向け、72%は毎日使用するリードを通常管理するのにお勧め、58%はリードの長期保存に最適な低湿度で、安定して保存できるそうです。
このシステムの開発には、かつてのテナーサックスの巨人、故マイケル・ブレッカーが参加しており、マイケルは「一度湿らせたリードは、二度と乾燥させるべきではない」との持論で、このシステムを開発する前は、水を入れたコップの中でリードを保存していたそうです。
ヴァンドレン社のハイグロリードケースも保湿機能を有していますが、「リードを乾燥させずに、呼吸させる」という状態を保てる新発想のリードケースです。ケース内に収納された高吸収のスポンジに水を含ませ、スポンジに含まれた水が少しずつ蒸発しながら、リードを湿らせて形が変形するのを防ぎ、外側に設けられた換気口が余分な水分を逃がし、湿気の蓄積を防ぎます。ケース表面には湿度表示ディスクが備えられており、通常のピンク色が青色に変化したら、湿度が低すぎるので水分補給が必要というサインとなります。
また「HUMID SAFE」という製品はリードのような形をした調湿器で、複数枚のリードを収納出来るリードケースに、リードに紛れ込ませて保管することで、リードケース内の湿度を最適に調整します。
どんなリードケースを使っていても、リードの保管は雑菌の繁殖防止を意識しなくてはなりません。リードガード等のリードが露出した乾燥型の保管なら、雑菌の繁殖は比較的緩やかですが、保湿型のリードケースの場合は保存温度にも配慮が必要です。比較的高温になる場所に湿ったリードを保管すれば、カビの繁殖の原因になります。
家に帰ったら、リードケースは冷蔵庫に仕舞っておく、というサックス奏者は少なくありません。これから暖かい季節になりますので、是非温度管理をご一考ください。
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