大昔は、サックスの色はほとんどが「ゴールド」、たまに銀色を見かける程度でしたが、最近では黒や白、レッド、ピンク、パープル、グリーン、ブルー、果てはうっすら錆びた茶色なんてサックスも見かけます。サックスの色を決定する、サックスの表面処理について解説します。
サックス本体及び部品の素材は銅と亜鉛の合金、真鍮(しんちゅう)がほとんどです。どんな金属素材も表面の傷や劣化を防ぐために表面処理がなされます。伝統的な金属製管楽器の表面処理は、ラッカー処理が主体です。
ラッカーは極薄い塗布でも硬くて耐久性の高い塗面を与え、磨き上げることによって強い光沢と深みが得られる樹脂系塗料です。このラッカーの色によって「サックスの色」が決まるわけですが、一番一般的なサックス用ラッカー仕上げは、「クリアラッカー」という無色透明なラッカーでおこなわれます。無色なので地金の真鍮の色や輝きがそのまま見た目になります。かなり前から、ラッカーに色素を加えたゴールドラッカーやピンクゴールドラッカー等の表面処理もありましたが、サックスの「黄金色」のイメージの延長でした。
それを破ったのが「ブラックラッカー」です。真っ黒な管体はシャフトやキー、ベルリングの金色と相まって、強烈な個性を醸し出し、多くのポップス系サックス奏者に支持されています。そして最近では、アジア系の廉価盤サックスメーカーを主体に、より高いステージ映えを目指した、鮮やかな光沢をもったレッド、ピンク、パープル、グリーン、ブルー等のサックスも発売されています。
ラッカーの表面処理に対し、より高級なサックスの表面処理とされているのがメッキ(鍍金)です。イオン化したメッキ素材金属が溶け込んだ水溶液、「めっき液」に、メッキする素材を浸し、電気や化学反応によって素材表面に、メッキ素材金属の被膜を形成するのがメッキです。
管楽器には古くから金メッキ(ゴールドプレート)や銀メッキ(シルバープレート)処理がなされたモデルが製造され、高級感のある見た目と独特のサウンドで、多くの奏者に支持されています。
近年では、金に銅を混合した「ピンクゴールド」や、金より高価な「プラチナプレート」、またニッケルにスズを混ぜた「ブラックニッケルプレート」等のサックスも登場しています。
ラッカーやメッキなどの表面処理をしない、「アンラッカー」仕上げのサックスも、ジャズ系サックス奏者のなかで支持が高いようです。
ラッカーやメッキによる表面処理をおこなわないため、真鍮の素材表面がむき出しで、手脂や空気中の水分でサビや色変化が生じますが、その見た目や柔らかなサックスサウンドが、ヴィンテージ楽器のそれを彷彿させると人気です。
とはいえ素材の真鍮は、空気に触れただけで酸化被膜が表面に発生します。真鍮表面がやや黒ずみ、被膜によって真鍮が内部まで犯されるのを防ぎます。要は人間が守ってやらなくても、真鍮素材自身が自分を守るために酸化被膜を形成するのです。
もちろん「緑青」等の「本当のサビ」も発生しますので、アンラッカー仕上げのサックスには、「サビとどう付き合うか」の対策が必要です。
サックスの表面処理は、サックスの見た目だけでなく、そのサウンドにも大きく影響を与えます。ステージ映えやサウンドの個性にバリエーションが求められる昨今、個性的な表面処理のサックスが続々と出現しています。
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