サックスという楽器の原理は、長い円錐管にリードの振動で音エネルギーを与え、管の適切な部分に開けた穴を開閉することで音階を出す、というものです。正しく「管」を鳴らすためには、空気が漏れてしまうような「隙間」が大敵です。サックスにある「隙間」の場所と、その塞ぎ方を考えてみましょう。
一番身近なサックスの隙間は、トーンホールとそれを塞ぐパッドの間にできる隙間でしょう。トーンホールが開いた時には、音響物理的に完全に開いており(適切なパッドとトーンホールの距離があります)、そして閉じたときには、完全に隙間なく閉じなくてはなりません。
パッドが正しく調整されていないと、トーンホールエッジとパッドの間にわずかな隙間が生じ、音程やサウンドの悪化を招きます。この隙間は「リーク(漏れの意味)」と呼ばれ、サックスのリペア道具の「リークライト」でそれをチェックします。リークライトをサックスの中に入れ、内側から照らしながらキーを閉じ、隙間から漏れる光をチェックることで、パッドがトーンホールをきちんと塞ぐことが出来ているかを調べます。
リークライトは簡単に自作することができます。「ロープライト」や「テープライト」とネット検索すると、LED光源素材がたくさん見つかるので、それらを利用すると簡単です。例えば1m程のLEDテープライト(3000円位)を買い、半分の50cmで折り返し、表裏の両方が光るように背中合わせに張り合わせ、透明の熱収縮チューブをかぶせて火であぶって収縮させて補強します。そしてそのテープライトの規格に合ったACアダプターを接続すれば、とても明るいリークライトの完成です。とはいえ見つけたリークを塞ぐには、それなりの技術が必要です。
次の隙間はマウスピースとネックコルクの隙間です。一台のサックスで複数のマウスピースを使用している奏者は、「ぴったり」ネックコルクを合わせたマウスピース以外を使用するとき、隙間で苦労するようです(キツイ場合は刺さらず、使用できません)。
この隙間を塞ぐのには、昔からパラフィン紙などが使用されています。水濡れに強く、滑りが良いのがその理由です。しかし最近では、水道管の補修等に使う、薄手のシールテープを使う人が多いようです。薄くて丈夫、糊なしなので簡単にはがせます。
そのすぐ下のネックソケットとネックレシーバーとの隙間で悩むサックス奏者は多くありません。もともとネックスクリューで「締め込む」構造なので隙間が出来難いのと、別売のネックを使用する際のキツイとか緩いとかの場合は、リペアマンに頼めばピッタリに調整してくれますし、それ以外に解決の方法はありません。
サックス本体の隙間ではありませんが、見逃しがちなのが、ケース内部のサックスと支えとの隙間です。サックスをケースに入れて移動するとき、この隙間はサックスへの予想外のダメージにつながります。
サックスは思いのほか重量がありますので、ケースの中でサックスが揺れて受け具とぶつかると、曲がりや歪みの原因となりかねません。タオルやクロスを使用して、しっかりとケースにサックスが「はまる」ように調整しましょう。どんな「隙間」も塞ぐのが原則ですね。
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