サックスのお悩み相談には、奏者の前歯に関する質問が少なくありません。その内容は、「長く演奏すると上前歯が痛くなる」、「上前歯からの振動が耐えられない」、「上前歯が差し歯でもサックスは吹けるか」等、様々です。
基本的なサックスのアンブシャでは、上前歯はマウスピース上部に直に当ててマウスピースを安定させ、舌前歯は巻いた唇を介して口の締め方をコントロールします。上も下も「前歯が無い」状態だと、サックスを吹くことはかなり難しいかもしれません。サックス演奏と前歯の関係を掘り下げてみましょう。
マウスピースの咥え方、アンブシャにはいくつかのタイプがありますが、どの場合も上下前歯は口輪筋の締め付けの支えとなっています。またアンブシャの締め付けの強弱のコントロールに、上下前歯は大きく関与しています。
演奏中にサックスを揺らす奏者の場合、マウスピースを咥えている上前歯に大きな負担がかかります。上前歯の痛みを訴えるサックス奏者の場合、その原因のほとんどが「サックスの揺らし」です。サックスを揺らすことで、上前歯を前後にグラグラ揺すっている感じです。また力を入れて嚙み過ぎている場合もあります。いずれにせよ、痛みを感じるほどの力はサックスの演奏に必要ありません。力を抜き、上前歯の負担を軽減するようにすれば解決する場合がほとんどです。
また「下唇が痛い」というトラブルも、下前歯の「噛み過ぎ」や「顎の揺らし」が原因です。前歯関係の痛みには、ほど良い力加減が解決の近道です。
上前歯はマウスピースに直接触れるため、その振動が直接に伝わってきます。この振動が不快な場合は、マウスピースパッチをマウスピース上部に貼り付け、伝わる振動を低減させます。マウスピースパッチは多くのアクセサリーメーカーから色々な種類のもの販売されており、厚さは0.1mmから0.8mmあたりまで、また材質も「滑り易いもの」や「滑りにくいもの」、「クッション性の高いもの」等、好みに合わせて選択できます。
マウスピースパッチは、前歯への不快な振動を低減させたり、マウスピース自身が前歯で削れるのを防ぐなどに、とても有効なアクセサリーですが、吹奏感だけでなく、サックスの音そのものも微妙に変化させるので注意が必要です。厚く、面積が広いパッチは、マウスピースの振動そのものを抑制してしまう場合もあります。そんな場合は、ハサミやカッターでマウスピースパッチの不要な部分、つまり歯が当たっていない部分を切り取る、という方法も有効なようです。
多くのメタルマウスピースでは、金属部分が上前歯に直接触れるのを防ぐため、ティースガードプレート(またはバイトプレート)が埋め込まれているモデルがほとんどです。このようなマウスピースを、マウスピースパッチを使わずに吹いていると、長年の使用でプレートの上前歯の当たる部分が削れてきます。
削れたり割れたりしたプレートは交換が可能ですが、交換の際には注意が必要です。この部分は非常に繊細なマウスピースのボディの一部ですので、交換した材質の違いや、交換後のプレートの厚さの変化で、マウスピースのサウンドや吹奏感が変化してしまう場合が少なくありません。自分でプレートの交換をする場合は、ご注意ください。
また、音を改造するために、わざとバイトプレートを交換する、というマニアックなサックス奏者もいるようです。
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