「EMEO(エメオ)」という楽器をご存知でしょうか。イスラエルのプロサックス奏者、Oleg Raskin(オレグ・ラスキン)が友人らと開発した、今世界中でファンを増やしている、世界初の「サックス奏者向け練習用デジタル管楽器(Digital Practice Horn for Saxophone Players)」です。今日はその「EMEO」を徹底的に探ってみましょう。
ウインドシンセの普及の立役者、AKAIのEWIシリーズや、ローランドのエアロフォンシリーズ、また今尚品薄が続くヤマハのYDS-150、同ヤマハのWXシリーズ等が、あくまで「演奏すること」を目的とした「パフォーマンス用楽器」であるのに対し、「EMEO」はサックス奏者の「練習用」として開発されました。
EMEO開発チームのゴールは、サックスという音の大きな楽器を、時と場所を気にすることなく練習できるようにする、プロにとっても初心者にとっても、同じように最高の解決策を用意することでした。そして完成したのが、アルトサックスのネック、U字管、ベルをバッサリ取り去り、その中に電子機器と制御スイッチを詰め込んだ、「操作感はアルトサックスそのもの」のMIDI出力付き電子サックスでした。
EMEOは「サックスの練習」という限られた状況で、いかに静かに、しかも気持ちよく練習できるか、ということに特化した道具です。EMEOの開発には5年を要しました。最初に作られた試作品はプラスチック製でしたが、EMEOチームは、「演奏家の求めているものは、本物と違わない質感だ」、という信念から、様々な改良とテストを重ね、ついに2020年7月、金属製の市販品EMEOを世に送り出します。広告をほとんどおこなわなかったにも関わらず、最初のロットはほんの2時間で売り切れてしまったそうです。
EMEOはアルトサックスの2番管(主管)の各キーにスイッチが取り付けられ、内部の電子回路で運指が即座に判断され、先端から吹き込まれた息を受け止める呼気センサーと連動してMIDI信号を生成します。楽器としてのキーはE♭、B♭、Cの3種が選べます。バイトセンサーは付いていません。
音域はローAからハイD4、USB-MIDIインタフェースおよびBluetooth-MIDIワイヤレスインタフェースも内蔵しています。内臓バッテリーで稼働し、充電はUSBでおこないます。マウスピースはアルトサックスのものが使用でき、抗菌樹脂製のストレートネック、カーブネック、専用マウスピースが付属しています。本体重量は1.7kgです。
吹奏時の息の抵抗感はサックスそのものです。息が詰まる感覚はありません。バイトセンサーが搭載されていないので、ピッチベントによる演奏のコントロールは出来ませんが、ブレスセンサーでもタンギングによるアタック表現は十分可能です。内臓音源がないので、有線またはBluetoothでPCやスマホ、タブレットPCに接続し、音源を鳴らす必要がありますが、外部音源発音タイミングの息やキー操作への追従も、不快な遅延はありません。
管体のフィニッシュは、ゴールドラッカー、ヴィンテージラッカー、ブラックニッケルの3モデルがあり、いずれも価格は1,550USドル。受注生産で、発注時に300ドルのデポジットが必要です。
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