サックスという楽器は、かなり複雑なメカニズムを持っています。一般的なアルトサックスで約600点の部品から構成されています。その膨大な数の部品が、ひとつひとつ各々の役割を果たし、私たちサックス奏者の演奏をサポートしてくれています。サックスを細かく解剖し、それぞれの部品の役割を探ってみましょう。今回のテーマは「シリアルナンバー」です。
「シリアルナンバー」は部品でもメカニズムでもありませんが、サックスにとって、そしてそのオーナーにとって重要な情報を持っています。その情報とは、そのサックスの唯一無二の個体識別情報であり、またシリアルナンバーを参照することで、そのサックスの製造年が分かります。
この番号は普通胴輪のすぐ上のあたりに刻印されていますが、その番号の割り振りのルールは、サックスのメーカーによって色々異なるようです。
またセルマーのヴィンテージサックスのうち、「マッチングネック」と呼ばれる、本体と一体で最適なサウンドとなるようネック調整がなされた個体では、ネックにも本体と同じシリアルナンバーが刻印されています。
シリアル番号はその楽器個体に特有の番号で、そのサックスが盗難にあった場合、盗難届と一緒にシリアルナンバーを報告しておけば、全国の古物取扱業にその番号が連絡され、売買の際には必ずシリアルナンバーがチェックされるので盗品と判明します。万が一の時のため、自分のサックスのシリアルナンバーは、必ず控えておいてください。
シリアルナンバーによる製造年の特定は、ヴィンテージサックスの中でもダントツの人気を誇るセルマーのサックスが調べられることが多いようです。セルマーのサックスは、すべてのサックスのシリアルナンバーを連番としており、機種と製造年、シリアルナンバーが完全に同期しています。
1922-1925年はModel 22、1926-1929年はModel 26、そして1954-1973年がmark VIでシリアルナンバーは55201-220800、Mark VIIは1974-1980年でシリアル220801-315500というように分かります。
セルマーのヴィンテージサックスは5桁のシリアル、つまり9万台までの物だけ圧倒的な人気で、特別扱いされています。これは、これらが1948年から1961年の間に製造されたサックス(SBA、Mark VI)であり、50年代から60年代のジャズが最も成熟し、多くの名演奏が残っいる時代に使われていたサックスで、それらと同じ音色を得られる5桁シリアルに意味があり、特に7万台あたりまでが、その意味ではより大きいと言われています。
複数モデルを同時期に製造している他メーカーでは、ここまですっきりした特徴は出ませんが、各社のシリアルナンバーとその製造年の一覧表は簡単に入手できます。ヤナギサワのシリアルナンバーは1896年~1980年までのサックスに関しては、ナンバーの3桁目と4桁目が西暦の下2桁となっていました。ヤマハのサックスのシリアルナンバーと製造年の一覧表は公開されていませんが、管楽器相談窓口に電話をすれば教えてくれるそうです。
——————————————————————————————–
⇒『 AIZENより 音楽の秋キャンペーン 返品保証30日+豪華3大特典付き』
⇒『AIZENお客様の声キャンペーン!』
この記事へのコメントはありません。