サックスという楽器は、かなり複雑なメカニズムを持っています。
一般的なアルトサックスで約600点の部品から構成されています。その膨大な数の部品が、ひとつひとつ各々の役割を果たし、私たちサックス奏者の演奏をサポートしてくれています。
サックスを細かく解剖し、それぞれの部品の役割を探ってみましょう。今回のテーマは「ビーク」です。
ビークとは「Beak」、英語で嘴(くちばし)のことです。サックスのマウスピース先端のクサビ上の部分を、鳥のくちばしに例えてビークと呼んでいます。ビークの形状は各マウスピースメーカー、モデルによって千差万別で、スロープの傾斜角度、そのカーブ、幅等で吹奏感が微妙に異なります。
一般的にはメタルマウスピースはビークの傾斜が大きく、ラバーのそれは低い、という傾向がありますが、老舗オットーリンクのメタルマウスピースの傾斜は同社のラバーよりやや低くなっています。とは言え、サックスのマウスピースのビークの角度は、ある程度の範囲に収まっているようです。
マウスピースを換えたときに感じる違和感も、息の入り方や、全体の太さなどでは感じても、ビークの角度で違和感を強く覚えるサックス奏者は多くはないでしょう。
サックスのマウスピースのビーク角度はある程度均一なので、異なるマウスピースでの違和感は少ない、と言いましたが、クラリネットとサックスを持ち替える奏者にとっては話は変わります。クラリネットのマウスピースのビーク角度は、サックスのそれに比べて、全般的にかなりきついのです。
サックスからクラリネットに持ち替えたとき、極端な表現では、「口がひと回り大きく開いた」感じすらあります。そんなサックス奏者にはバンドレン社のクラリネットマウスピースの、「プロファイル88」があります。「プロファイル88」とはバリエーションの名前です。
例えばモデル5RVでもトラディショナルモデルとプロファイル88が選択できます。バンドレンは、「トラディショナルに比べ、ビーク外部の角度が若干鋭角になっており、演奏の姿勢、息の入れ方、コントロールの仕方に変化が生まれます。」、と記載していますが、それが結果、サックス奏者には嬉しい形状になるのです。是非お試しください。
各マウスピースメーカーは、そんなにビークに主張を入れてないようですが、長い歴史に渡ってビークにこだわった老舗マウスピースメーカーもあります。それが「ベルグラーセン(Berg Larsen)」です。
1940年代にベルグラーセンが最初に作ったマウスピースは、長く緩やかな傾斜のビークを持ち、ダックビル(Duck Bill:あひるのくちばし)と呼ばれました。 1950 年代初頭から 1980 年代にかけてのラーセンは、バイトプレートのすぐ後ろに上向きのスクープ(窪み)を持ち、「スクープビル」と呼ばれました。70年代から80年代にかけては、長い直線のビークの「ストレートビル」となります。
現行品でもダックビルモデル、ブレットモデル、ヴィンテージシリーズ等のビーク形状のバリエーションが選べます。これがラーセンマニアにはたまらないようです。
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