サックスはどうやって置くのが正しいのか。右手が触る面、つまりシャフトが通っているゴチャゴチャしてる側、を下にして床に置くのが正しい置き方です(バリトンは逆)。というようなことをかつての先輩や先生は教えてくれましたが、最近では「サックススタンドに置くのがベスト」というアドバイスも少なくありません。
安価で丈夫、かつ小さく畳める便利なサックススタンドが多数出回っている今日この頃では、床にサックスを横たえるより、スタンドに立てて置くほうが、安全なように思えます。しかしこの「縦置き」も、転倒の危険が生じます。
サックススタンドにサックスをより安全に「安置」するために、サックススタンドの物理学について考えてみましょう。
カメラの三脚で分かるように、三本の足で立つのは、物理的に最も簡単に安定する方法です。故に多くのサックススタンドは三本足でサックスを支える構造になっています。
三本足はがたつきが無く、すぐに安定しますが、三本の足にサックスの重量が1/3づつ加わり、かつ足の間の3方向に倒れ易くなります。この倒れ易さは、足の長さと、足と床の角度で決まります。
サックスをスタンドに置いた状態で、足と足の中間の方向に、サックスを押し倒そうとしてみてください。一見丈夫そうなスタンドでも、思いのほか倒れ易いと感じる場合があります。その原因がサックスとスタンドが合体した状態での、「重心」の位置になります。ほら、このへんが物理です。
重心が高いと倒れ易く、低ければ倒れ難くなります。また水平方向の重心位置も大事です。三本の足の接地点を通る円の中心、この中心に重心が近いほどスタンドは安定しますが、サックスの複雑な形と、スタンドのサックス受け具の形状などによって、水平重心の位置がずれ、重心の方向にサックスは倒れ易くなります。
自分のスタンドの、サックスを置いた状態での重心の位置を感覚的に把握し、倒れ易さの傾向を知り、サックスの転倒を回避しましょう。
サックススタンドの堅牢さを、足の太さや強さで判断するのは、決して間違った考えではありません。しかし丈夫な足でも、それを「しっかり支えて」いなければ、丈夫なサックススタンドにはなりません。
多くの折り畳み式スタンドは、足の根本付近をピンで回転式にして、折りたためる構造を作っています。このピンの強度や、足の根元の固定方法が、スタンドの「丈夫さ」をほぼ決定します。
たとえ倒れ難くても、ある程度の力で根元の固定構造が壊れれば、サックススタンドそのものが崩壊し、サックスを倒してしまいます。一般的にアルトサックスで2.3kg、テナーで3.6kg。「ドン」とサックスをスタンドに置いたり、不用意に押したりすれば、倍以上の重量がスタンドの中心部の負担となります。
長い脚の根元近くがピンで固定されていれば、足の中心側には「てこの原理」の大きな力が加わります。足の根元の固定強度はいたって重要です。サックススタンドを購入する際には、是非、注意深く観察してください。
——————————————————————————————–
⇒『 AIZENより 音楽の秋キャンペーン 返品保証30日+豪華3大特典付き』
⇒『AIZENお客様の声キャンペーン!』
この記事へのコメントはありません。