大手楽器メーカーや老舗のマウスピースメーカー、また世界中の新進のマウスピースブランドから、続々と新しいマウスピースがリリースされています。
しかもどれも個性的で、素晴らしい性能のものばかりです。サックス奏者としては選択肢が増えて嬉しいやら、どれにしようか迷いまくるので困るし、本当に嬉しい悲鳴状態と言えるでしょう。
今回はそんな「マウスピースの作り方」をおさらいしてみましょう。
初めてのサックスマウスピースはハードラバー、つまりエボナイト性です。
エボナイトとは、生ゴムに硫黄成分を添加(加硫)し、加熱して硬化させた合成樹脂です。黒檀(こくたん、英名:Ebony、エボニー)のような外見と硬さになるので、エボナイトと名付けられました。柔らかい状態のエボナイトを型に注入し、蒸釜加硫(蒸気で熱した窯で数十時間加熱)し、その後型から抜いて精密に削ってマウスピースの素材となります。このようにして作られたエボナイトは、金属を遥かに超える抜群の耐久性があり、精密加工にも耐えられる形状安定性を持っています。
切削加工はかつてはほとんどが手作業でしたが、現在ではコンピューター制御の精密NC加工機(数値制御”を意味するNumerically Controlの頭文字)での加工が多いようです。メタルマウスピースのほうは、かつては鋳型に金属を流し込む「鋳造原型」から削り出していましたが、現在ではソリッドな棒状金属から加工機で削りだす方法が主流のようです。
NC加工機は1/1000ミリほどの加工精度がありますので、最終仕上げの必要性もほとんど無いほどの精度で加工できます。もちろん精密加工機は「設計値」を忠実に再現する能力はありますが、やはり最終的な調整は、職人の手によって丁寧におこなうことが必要なようです。
近年では、エボナイトに代わる数々のマウスピース用樹脂素材が採用されています。人工樹脂の種類は、それこそ「星の数ほど」ですが、各メーカーがマウスピースのために独自に研究・開発した素材によるマウスピースが、卓越した個性を引っ提げて市場に流通しています。
老舗ピリンジャーは、樹脂素材と金属素材を混合させた「ブロンザイト」なる素材を採用したマウスピースをリリースしていますが、こうなるとラバーともメタルとも言い難い、境界が不明なマウスピースとなっています。
まだサックスのマウスピースへの採用実績はありませんが、ピッコロやクラリネットの素材として長年使われて来た、絶滅危惧種素材であるグラナディラに代用するため、樹脂にグラナディラの粉末を混合して生成した、「グラナディッテ」という合成樹脂が、クラリネットやピッコロの材料として最近着目されています。合成樹脂って凄いですね。
凄い、と言ったら「3Dプリンター」の性能向上も凄いです。着々とマウスピース業界への採用も実現しているようです。
精密な立体測定器、「3Dスキャナー」でヴィンテージマウスピースの名品の詳細形状を数値化し、そのデータをもとに3DプリンタやNC加工機で超精密なコピーを作成する、なんて夢のようなことがもう目の前で実現しています。ほんと、嬉しいけど困りますね。
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