1940年代に、ズート・シムズやスタン・ゲッツ、サージ・チャロフとともに、ウディ・ハーマン楽団第2期の「フォア・ブラザーズ」のひとりとして知られ、ズート・シムズとのツインテナーユニットを長きに渡り続け、ともすればシムズの引き立て役、サイドメン的な印象で、かなり割を食っている感があるアル・コーン(Alvin Gilbert Cohn:アルヴィン・ギルバート・コーン)は1925年11月24日、アメリカ合衆国ニューヨーク州ニューヨークシティ(マンハッタン)のブルックリン地区に生まれたジャズテナー奏者で、作・編曲家です。
ウディ・ハーマン楽団時代は、花形プレーヤーであったシムズやゲッツとは異なり、編曲家としてもハーマン楽団を支えました。
ハーマン楽団を退団後は、多種多様なアーティスト達と共演をしましたが、元フォア・ブラザーズの盟友、ズート・シムズとの長きにわたるツインテナーバンドが人気が高く、数多くの名演が残されています。1985年に59歳でシムズが亡くなるまで、散発的ながらも二人は共演を続けました。二人の演奏の頂点は、スタンダードと自作曲を集めた『You ‘n’ Me (1960)』と言われています。
アルはテナー奏者としての活動に加え、編曲家としても名高く、ブロードウェイミュージカルのトニー賞作品、「レーズン (Raisin)」(1973年初演)やジャズの偉人、デューク・エリントンへのオマージュとして作られた「ソフィスティケイティッド・レイディーズ (Sophisticated Ladies)」(1981年初演)の編曲を担当しています。
ポップスの分野でも活躍し、あのエルビス・プレスリーの伴奏を務めたこともあります。またロック界の歌姫、リンダ・ロンシュタットの未発表音源にも、アルが編曲を手懸けたものが含まれているそうです。
アルのサウンドは、当時としてもスタイル的には古いとしか言いようがありません。しかしアルは自ら意図的にこれをおこなっています。今で言うオールド・ファッションスタイルを貫き、先進的なジャズを生み出す数多くの人気ミュージシャンの中において、そういった形で自己の個性を貫いていました。
音楽のスタイルが時流によって姿形を変えても、アル・コーンはすっとそのままいつもアル・コーンでした。故に時代を超えて、今の現在でも、「純粋に心地良い、優しい音楽」として彼の演奏が評価されています。
アル・コーンのテナーは、アメリカンセルマーのSuper Balanced Actionのゴールドプレート、5万3千番代で、マウスピースはセルマーソロイストのショートシャンクC*です。アルのテナーサウンドは、相棒のズートがゴリゴリ系の正統派テナーサウンドであるのに対し、ある意味「ひ弱」とも感じる線の細いテナーです。
優しいサウンドで心地良いフレーズを繰り返して流れていく彼の演奏は、個性よりも音楽の心地良さを選択した、彼の音楽哲学の表れなのでしょう。
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