ジャズの歴史に燦然と輝く、同姓同名のピアニストの巨匠がいるため、ちょっとばかり損をしている感はありますが、サックスのビル・エヴァンス(William D. Evans)も、押しも押されぬジャズ/フュージョンサックス界の偉人です。
ビルは1958年2月8日、イリノイ州のシカゴの南西部の村、クラレンドン・ヒルズに生まれました。ビルの父はクラシック・ピアニストで、ビルも最初はクラシックのクラリネットを学んでいました。中学生になりサックスを始め、ソニー・スティット(as, ts)やスタン・ゲッツ(ts)らのライブを、シカゴのライブハウスで聴いていたそうです。高校生のときにはジャズテナーサックス奏者のヴィンス・ミッコに師事し、大学時代にはデイブリーブマン(ss)に師事しています。
1979年、21歳でニューヨークに移り住み、本格的にプロ活動を開始し、22歳でマイルス・デイヴィス・バンドに加入し、1980年代初頭のマイルス・デイヴィス(tp)の復帰に立ち会っています。
マイルスと共演しているアルバムには、『ザ・マン・ウィズ・ザ・ホーン(1981)』、『ウィ・ウォント・マイルス(1982)』、『スター・ピープル(1983)』、『デコイ(1984)』があります。さらに、ハービー・ハンコック(kb)、ジョン・マクラフリン(g)、ウィリー・ネルソン(vo)、ミック・ジャガー(vo)、ランディ・ブレッカー(tp)といったアーティスト達とも共演しています。
1982年から、パット・メセニー(g)・グループの元メンバー、ベーシストのマーク・イーガンと、ドラマーのダニー・ゴットリーブによって結成されたグループ「エレメンツ」に参加しました。1984年にはジョン・マクラフリン(g)によるマハヴィシュヌ・オーケストラの再結成にも合流し、1987年の解散まで在籍しています。1990年からは、自分自身のバンドを率いて、世界中で年間90回近くのコンサートをおこなっています。
これまでに17枚のソロ・アルバムを録音し、グラミー賞候補に2度ノミネートされています。2003年からは、ランディ・ブレッカー(tp)とともに「ソウルバップ・バンド」を結成し、15年以上にわたって世界中でツアーをおこないました。
ビルの楽器は、テナーはセルマーMark VIにマウスピースはデイヴガーデラのスタジオモデル、ソプラノも同じくMark VIにボビーデュコフの9番を使用しています。ビルは早くから、ライブステージでの演奏中にステージ上を自由に動けるよう、ワイヤレシステムと連動したサックス用クリップマイクを使用しています。
近年はデンマークのブランド、DPA Microphonesのシステムを使用していますが、多くのサックス奏者のように、マイクをベル内部に向けるのではなく、管体の中ほど(ソプラノ)もしくはベルの縁あたり(テナー)に向けています。これによってすべての音域の音質が均一かつ明瞭になり、特定の音域で音質が変わったり、音量が変わってしまうことが無くなったそうです。さすがエレクトロニックジャズの先駆者、マイルスの教え子ですね。
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