「ボケと突っ込み」は、漫才やお笑いに不可欠な要素ですが、音楽界、特にジャズ・ポップス系の音楽では、「タメと突っ込み」が不可欠な要素です。音楽をより音楽らしく、よりエモーショナルにするために必要な、微細なタイミングのコントロール、「タメと突っ込み」について考えてみましょう。
メトロノームを基準にテンポを考えるとき、「カチン」の音よりほんの少し遅らせて発音し始めるのが「タメ」。逆にほんの少し早めに発音するのが「突っ込んで」音を始めるということです。
ジャストタイミングから微妙に遅らせると、ジャズっぽいゆったり感が、またちょっと早めればロックっぽい攻めの感覚が演出できます。「えー、そんな難し事、できないっす!」と思いがちですが、メトロノームでなく、指揮者に合わせるオーケストラを考えれば、簡単に答えが出てきます。
交響曲などのクラッシック曲でも、基本となるテンポは存在しますが、すべての発音のタイミングは指揮者に委ねられ、指揮者の考えた時間軸で音楽が進められます。一定間隔のテンポから考えれば、あるときはもの凄く早く、またあるときは微妙に遅く、発音を揃えるよう指揮されます。
そう、メトロノームが打ち出す一定間隔の機械的なテンポは、音楽にとっては単なる基準値であり、ほとんどの音楽はそこから微妙にはみ出した形で展開されています。
そうは言っても、過ぎた「タメ」は遅れに聞こえ、早過ぎる「突っ込み」はただのフライングです。音楽的であり、かつその曲の世界観を強調こそすれ、邪魔はしないレベルの「タメと突っ込み」が正しいそれらと言えるでしょう。そして「正しいタメと突っ込み」を習得するのは、かなりの練習が必要です。自分のサックスの発音のタイミングを完全に、微細にコントロールする練習です。
この練習には旧式の振り子の付いた機械式メトロノームが最適です。振り子の振り切れる位置を目で確認しながら、その直前、直後に発音する練習です。視覚的に設定したポイントで音を出すために、自分の腹筋、喉、舌がどのように、どのタイミングで動けば良いかを繰り返し練習しましょう。これを繰り返せば、100分の1秒レベルでの発音のコントロールが可能になります。
もちろん、タメと突っ込みには「深さ」のバリエーションがありますので、色んな深さのタメと突っ込みを練習する必要もあります。「遅れ」となってしまう寸前のタメ、フライングになる手前の突っ込みを、練習を通して自分で感じ取って、身体に学習させてください。
タメと突っ込みの練習は、合奏に際して必須の技術を体得させてくれます。ビッグバンドではリードアルトに発音のタイミングを合わせなければなりませんし、ブラスロックでも、ブラスバンドでも、マーチングバンドでも、「誰かに合わせる」技術は楽器奏者にとって必須の技術です。
タメと突っ込みの練習で培った、100分の1秒レベルのタイミングコントロールの技術さえあれば、合わせるべき人のタイミングを聴き取り、それに合わせることが簡単に出来るようになります。タメと突っ込みの練習、是非あなたの練習に取り入れてください。
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