年配の方々であれば、昭和後期の人気テレビ番組、「今夜は最高」でタモリと一緒にふざけあう、バンドマンだか芸人だか分からない不思議なおじさん、と認識されているかもしれませんが、「あの」中村誠一は、日本を代表する偉大なジャズテナーの巨人です。
中村誠一は1947年3月17日生まれの東京都出身で、現在75歳の現役テナー奏者であり教育者です。日本大学櫻丘高等学校在学中に吹奏楽部に所属し、後に日本を代表するクラリネット奏者となる、2学年上の花岡詠二によって、スウィング・ジャズの魅力に目覚めさせられました。
高校卒業後、国立音楽大学サックス科に進み、本格的にサックスの勉強を始めました。クラリネットを大橋幸夫に、サックスを石渡悠史に師事し、大学在学中からフリージャズピアノの大御所、山下洋輔に認められ、1969年から1972年まで第1期山下洋輔トリオで活動しました。
山下洋輔トリオ脱退後は、自己のグループやジョージ川口NewBig4等で、フリージャズからメインストリームジャズまで、幅広いジャンルで演奏活動をおこなっていました。
1975年に発表された、気鋭の作曲家、水野修孝(comp, arr)の手による『「ジャズ・オーケストラ’75 (1995)」では、宮間利之とニュー・ハード、日野皓正(tp)、渡辺香津美(g)、村上ポンタ秀一(dr)らジャズ界のトッププレーヤーとともに中村誠一もソロイストとして参加し、迫力あるドライブ感と大音響で聴衆を圧倒しました。このアルバムはジャズのオーケストレーションに現代音楽の手法を採り入れた、当時としては非常に破天荒な作風であり、ジャズ、現代音楽、ポップスの多岐に渡る分野で大きな反響を呼びました。
その後1978年に渡米し、ジョージ・コールマン(as)に師事しつつ、本場ニューヨークのジャズシーンで腕を磨きました。当時ニューヨークを拠点として活躍していたベーシスト、中村照夫のグループ、「中村照夫とライジングサン」でボブ・ミンツァー(ts)などとクラブ、コンサートで演奏しました。1980年に日本へ帰国し、1981年から1989年まで日本テレビ系列の『今夜は最高!』に出演し、演奏とコントを披露しました。
2001年からは吉岡秀晃(p)と「BoNoBo Land」というバンドを結成し、定期的なライブ活動をしています。2003年にBoNoBo Landで『だろ!(2003)』を、2005年にはギターの伊東忍とのデュオアルバム『SERENATA (2005)』、2008年には『SUNGLASS (2008)』を発売しています。
2020年7月には、実の娘でジャズヴォーカリストの紗理との親子共演アルバム、『Swing for … Side 1 (2020)』、『Swing for … Side 2 (2020)』を2枚同時にリリースしました。演奏活動の傍ら、1999年より洗足学園音楽大学ジャズコース設立に参加して講師として活動し、2017年の定年で同大名誉教授の称号を受けた後も、後進の指導に当たっています。
中村のテナーサウンドは豪快にしてかつ温かい、聴衆に寄り添うようなフレーズと音色が特徴です。常に笑顔を絶やさない、中村の人柄そのものがサックスで表現されているようです。
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