なかやまきんに君の定番ギャグ、「おーい俺の筋肉。さあ、やるのかい?やらないのかい?」を見ると思い出すのは、サックス初心者の頃に悩んだ、「うーん、正しいアンブシャ。下唇は巻くのかい?巻かないのかい?」ではないでしょうか(そんな訳ないですね、汗)。
クラッシックなら「シンリップ」アンブシャで下唇を巻き、ジャズをやるなら「ファットリップ」で下唇は巻かない、っていう通説があり、下唇を下の歯に巻かない「ファットリップ」でサックスを始めた私ですが、今ではどちらかと言えば、下唇は巻いています。巻く、巻かない、どちらが正しいのでしょう。
いつものように結論から言ってしまいましょう。下唇を巻いて、下の前歯に少し被せるのが、サックスのアンブシャ(口の形)の基本です。奏者の下唇は、リードの振動をコントロールするために使用しますので、リードに押し付ける力(ちから)加減、接触面積、接触する部分の硬さ等を制御するには、顎につながった下の前歯で、しっかりと唇を支えることで、制御の精度を細かくすることが出来るのです。
逆に下唇を巻かなければ、歯の支えを借りずに、下唇の筋肉だけでリードの押さえ方をコントロール必要があり、そう簡単に上手に出来るものではありません。あくまでシンリップがサックスのアンブシャの基本であり、下唇を巻かない「ファットリップ」や、上の前歯すらマウスピースに接触させない「ダブルリップ」は、個性的な新しい音を探した結果の、「派生」アンブシャなのです。
かつてのジャズマンは、自身の個性をがむしゃらに追及していました。太い音、パンチのある音、叫ぶようなサウンド等の個性を探求する中で、ファットリップやダブルリップが考案されていったようです。
現在では、プロのジャズテナーサックス奏者の中でも、昔のような下唇を突き出したアンブシャを見ることは少なくなっています。楽器やマウスピースの性能が向上し、コントロールし易くなったサックスや、ファットリップにしなくても太い音を出せる、奏法の学習法の進歩の結果ではないでしょうか。
とは言え、クラッシック系のサックス奏者のアンブシャと、ポップス・ジャズ系のサック奏者のそれとでは、あきらかに違いが見られます。クラッシック系サックス奏者は、かなり深く下唇を巻いているひとが多く、ポップス・ジャズ系では巻きが緩い感じがします。
これは出したいサウンド、またコントロールしたい演奏の部分が異なるが故の結果です。唇の巻きを多くするとリードへの接触部分の硬さが増し、音の透明度の制御や音程の緻密なコントロールが可能となります。
かたや巻きが緩ければ、リードと唇が広い面積で触れ合い、大きく太い音のコントロールがし易くなり、かつ唇の疲労も軽減されます。表現する音楽の方向性の違いで、アンブシャも色々と変わると言って良いでしょう。
サックス初心者のうちは、「定型のアンブシャ」が目標かもしれませんが、ある時期から目標は、「サウンド」や「表現力」になり、アンブシャは手段となっていきます。自分の思った音を出せる口の形が、自分の最高のアンブシャなのです。
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