自動車のアクセルやブレーキ、ハンドルばかりでなく、ドアのノブ等多くの操作系の機構で、とても重視されているのが「遊び」です。押す、引く、回す、動く、等々の動作に人間が関与する際、「すぐに効き始める」より「ほんの少し効かない部分」、つまり「遊び」が必要な場合が数多くあります。
デジタル機器が幅を利かせ、オンかオフの「遊びの無い」世界に馴染んでしまった今の生活ですが、身の回りを良く観察すると、まだまだ「メカの遊び」は健在です。サックスのような楽器にも、随所に重要な遊びが取り入れられています。
奏者の手の動きに俊敏に反応して動くサックスのキーですが、「遊び」への配慮が随所になされています。
直接パッドを閉じる両手人差し指、中指、薬指では、カップの開き具合が「遊び」になっています。この遊びを少なくするには、カップの開きを少なくすれば良いのですが、あまり閉じ過ぎると音程が下がってしまうので、そのバランスが重要です。
速いフレーズを演奏するために、この遊びを少なくするプレーヤーもいれば、「音の切れ」を良くするために、この遊びを大きくするプレーヤーもいます。またメカの連動がある左手小指の操作の遊びは、楽器の設計や調整によってかなり幅があります。
適正な量の遊びであれば、押さえる力を強くするための補助になりますが、少ないと力加減が難しくなり、多ければタイミングの遅延につながる「ガタ」になります。日頃はあまり気付かない部分ですが、左手小指のキーアクションに不快感がある場合は、この「遊び」と「ガタ」の調整を考えるのも良いかもしれません。右手サイドキーのメカ連携の遊びも重要です。
これらのキーの場合は、押さえる力の不足に配慮する必要はほとんど無いので、機構的に必要な遊び以外は、極力排除するのが良いようです。「遊び」とは少し異なりますが、ここのキーのストロークが多過ぎると、手首に不要な力みを生み、他のフィンガリングへ影響を与えてしまう場合があります。
オクターブキーの遊びは、サックス操作系で一番重要な部分かもしれません。「平常位置」、「遊び」、「ストローク」、「キーの開き具合」でサックスの性能が左右されるといっても良いでしょう。それ故に「遊びと「ガタ」の判断が難しい部分です。オクターブキーの調整を自分の満足のいくものにすれば、サックスの操作が格段にやり易くなるでしょう。
操作系ではなく、サックスのメカニズムそのものにも「遊び」が必要です。シャフトの両端を円錐形の突起で受け取める固定ネジは、締め過ぎるとシャフトの回転を阻害します。緩すぎれば「ガタ」になります。文字通りサックスから「ガタガタ」と音がするでしょう。
適切な「ネジの締め付けの遊び」は、楽器の鳴りに関係するとも言われています。ネジをかっちり締め過ぎると、部品の振動を阻害する原因となり、結果サックスの鳴りが悪くなるそうです。熟練のリペアマンやサックス奏者の中には、「どこのネジをどれだけ緩めると、サックスの鳴りが良くなる」、という知識を持っている方もいるようです。
サックスの「遊び」と「ガタ」、結構重要です。
——————————————————————————————–
⇒『 AIZENより 福春キャンペーン 返品保証30日+豪華3大特典付き』
⇒『AIZENお客様の声キャンペーン!』
この記事へのコメントはありません。