昨年初頭に惜しくも癌で亡くなったチック・コリアが1972年に結成し、ジャズの歴史にその名を遺す偉大なグループ、「リターン・トゥ・フォーエヴァー」の最初のメンバーとして参加し、チックの曲の高速フレーズでも破綻することのない、サックスとフルートの確かなテクニックで、フュージョンサックスのジャンルを切り開いたジョー・ファレル(Joseph Carl Firrantello:ジョセフ・カール・フィランテッロ)は、アメリカ合衆国イリノイ州のシカゴの南方にある工業都市、シカゴハイツで1937年12月16日に生まれました。
子供の頃からフルートとクラリネットを演奏し始め、1959年、22歳でイリノイ大学アーバナシャンペーン校を卒業後、ニューヨークに移り、プロのジャズミュージシャンとしての活動を開始しました。
ファレルはメイナード・ファーガソン楽団やサド・ジョーンズ=メル・ルイス・ジャズ・オーケストラに参加したり、チャールズ・ミンガス、アンドリュー・ヒル、エルヴィン・ジョーンズらと共演して次第に頭角を現しました。
ジョン・コルトレーンの死後、ファレルは彼のグループメンバーだったエルヴィン・ジョーンズ(ds)、ジミー・ギャリソン(b)とのピアノレストリオでアルバムを2枚発表しており、ポストコルトレーンの代表格として注目されました。
マイルス・デイヴィスの『イン・ア・サイレント・ウェイ(1969)』、『ビッチェズ・ブリュー(1970)』でキーボードを弾き、本格的なエレクトリック・ジャズを始めたチック・コリア(pf)が、ジョー・ファレル(sax, fl)にスタンリー・クラーク(b)、アイアート・モレイラ(ds)、フローラ・プリム(vo, perc)を加えた、「リターン・トゥ・フォーエヴァー」を結成し、1972年に同名のアルバム『リターン・トゥ・フォーエヴァー(1972)』を発表し、ジャズ界に衝撃を走らせました。
イントロに「アランフエス協奏曲」のメロディを挿入した曲「スペイン」は大ヒットし、多くのアーティストにカバーされるスタンダード・ナンバーとなりますが、この録音ではファレルの美しくも力強いフルートの演奏を聴くことが出来ます。
「リターン・トゥ・フォーエヴァー」は紛れもなくフュージョンジャズの先駆者ですが、『リターン・トゥ・フォーエヴァー(1972)』発売の3ヶ月前に発表されたファレルのリーダー作『Outback(1971)』では、チック・コリア(el-pf)、エルビン・ジョーンズ(ds)、バスター・ウィリアムス (b)、アイアート・モレイラ(perc)らが参加しており、まるっきりの「リターン・トゥ・フォーエバー」の新しいサウンドを聴くことが出来ます。
新しいジャズサックスの牽引者だったファレルですが、1986年1月10日に骨髄異形成症候群(MDS)で残念ながら48歳の若さで亡くなりました。
ファレルはテナーサックス、ソプラノサックス、フルートに加え、オーボエやイングリッシュホルンのダブルリード楽器をも演奏するマルチリードプレーヤーですが、いずれの楽器も「超」の付く名人級のテクニックで演奏されました。
テナーサックスはセルマーMark VIのゴールドプレートの15万番代で、ベルグラーセンのハードラバー・マウスピース95にRICOの5番のリードを使用していたという事です。
——————————————————————————————–
⇒『 AIZENより 新春キャンペーン! 返品保証30日+豪華3大特典付き』
⇒『AIZENお客様の声キャンペーン!』
この記事へのコメントはありません。