十分成長して強くなった2年目のミュージック・ケーンは刈り取られた後、2年もの乾燥期間を経て、我々の使用するサックス用のリードに加工されます。乾燥により十分な強度と繊維の弾力を得たケーンは、100分の1ミリの精度で加工され、サックスやクラリネット、オーボエ等の楽器の、豊かな音色を発生させるためのリードになります。
リードは乾燥することで、その機能を十分に発揮させることが出来るわけですが、あれ?演奏中のリードは唾液でびしょ濡れですね。大丈夫なんですかね。今日はリードの水分について考えましょう。
結論から話すと、演奏中の濡れたリードでも、乾燥前のケーンと同等の水分含有率になることはありませんので安心してください。何時間吹き続けても、唾液の水分が原因で、リードの「コシ」がヘタることはありません。
逆に演奏開始後の水分は、リードの振動機能を助ける形に働きます。ウォーミングアップを経て、リードが鳴るようになるというのは周知の通りです。リードの水分コントロールは、保管時の性能劣化防止について重要と考えられています。
技巧派で知られた故マイケル・ブレッカーは、「リードを保存時に乾燥させることは、リードに「ウェット&ドライ(湿った状態と乾燥)サイクル」のストレスを与え、性能の維持を妨げ、劣化を促進する、と言い、ある程度の湿度を保った状態でのリード保管を推奨しました。この考えをもとに開発されたのがダダリオ(旧リコ)のリード・ヴァイタライザー等のリード保湿ケースです。
また少なくない数のサックス奏者が、水を入れたカップでリードを保存したり、濡らしたティッシュと一緒に、ジップロックにリードを保管していると聞いています。このリードの保管方法の「性能維持」を科学的に証明する資料を見たことはありませんが、少なくともウォーミングアップが短時間で済むのは、すぐにでも実感できます。
リードの「ウェット保存派」は結構多く、保湿剤に葉巻用のものを使用して、コストが抑えているひともいるそうです。また「湿度」はカビを発生しやすいので、家では冷蔵庫でリードを保管する方が多いようです。
またリードの延命措置として「渋茶療法」というのがあります。これは雅楽の篳篥(ひちりき)用のリードで昔から伝わる方法だそうですが、リードがヘタって腰が抜け柔らかくなってきたなと感じたら、熱い渋茶を入れ、リードの削ってある面が全部浸るところまで漬け、お茶が冷めるまで放置します。
これが渋茶療法で、曲がっていたリードが真っ直ぐに伸び、腰が戻って来るそうです。熱湯消毒とお茶のカテキン消臭効果もあるようです。しかしこれも科学的根拠は不明です。
リードの保存に、薄めたうがい薬やマウスウォッシュ液を使用するというのも聞いたことがあります。殺菌効果でカビを防止し、さわやかな香りで演奏を楽しめるそうです。「水分の内容」にもこだわるのですね。
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