音楽をやっていくなかで、いくつかの禁断の単語があると思います。
「へたくそ」とか「ださい」なんて序の口で、かなり心にグサッと来るのが「ずれてる」ではないでしょうか。「タイミングがずれてる」、「音程がずれてる」、「センスがずれてる」等、自分の演奏や音楽観の質に対して、決定的なダメ出しを受けているような気になってしまう、心が折れかねない必殺の単語です。
この「ずれ」と戦うにはどうしたらよいのでしょう。
音を出すタイミングのずれは、「遅れる」とか「走る」とか、「突っ込んでる」とかと言われます。人間が演奏するからには、テンポに合わせて演奏しても、必ず多少のズレが生じます(中にはピッタリと演奏できる方もいます)。そんなズレが人間らしさなのですが、あまりにもズレていると、音楽としてきれいに聴こえなくなってしまいます。
一流のプロ奏者が複数人で演奏をした場合、あるべきタイミングに対し、演奏のずれは10ms(10/1,000秒)以内に収まると言われています。普通に楽器の上手な方の合奏では、許容されるずれの目安は15ms前後です。そして誰が聞いても、明らかにズレを感じるのが20msあたりからです。
10/1,000秒と20/1,000秒の違いなんて、と思いがちですが、人間の感覚はこれらの差を感知してしまうのです。これらの遅延ずれを意図的に、合奏者全員でおこなえば「ため」や「乗り」になり、そうでないものは「テンポの破綻」になってしまいます。
音程のズレも音楽の質に大きな影響を与えます。歌で言うところの「音痴」は、微妙な音程を奏者がコントロールしなければならないサックス等の管楽器でも存在します。
奏者が気付かなければ、音程のズレた音が簡単に出てしまいます。かと言って、すべての音が平均律ドンピシャの音程で出されても、確実に味気ない音楽になってしまいます。「音程のズレ」も「タイミングのズレ」と同じように、上手にコントロールすることで音楽をより美しいものにします。
そして周知のように、平均律上の音だけでは完全なハーモニーを作ることはできません。構成音それぞれが、適切なピッチのズレの調整をおこなうことで、初めて美しいハーモニーが紡ぎ出されます。
ズレを克服するには、「ズレの無い旋律」を聴きながら練習するのが一番の早道です。
CD等の音源では、「音楽的なズレ」が入ってしまっているケースがほとんどなので、今の世の中の便利な道具、パソコンやスマホのDTM(デスクトップ・ミュージック)アプリを使いましょう。自分の練習したいメロディを、DTMアプリで入力し、メトロノーム音と一緒に再生するのです。アプリの超基本機能なので、それほど勉強しなくても簡単に出来るはずです。
ズレの無いサンプルを聴き込み、繰り返し一緒に練習しましょう。そうすれば自分の「出てしまうズレ」がはっきりと分かり、かつ「作るべきズレ」の方向性も明確になってくるはずです。
多くのひとが、「ズレゼロ」を知らずに、ズレに悩んでいます。人間味の無い「ズレゼロ」を正しく理解し、生身の人間として、「作るべきズレ」を自分のものにしてしまいましょう。
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