サックスの音の源泉であるリードは、人間が言葉を喋り、歌うために必須な身体器官である、「声帯」と役割が酷似しています。今回はその「声帯」の仕組みを知り、私たちサックス奏者がリードに対して、どのように付き合っていくべきなのかを考えてみましょう。
声帯は喉の中央部にあり、2つのヒダが合わさった形をしていて、このヒダの間を空気が通ることでヒダが振動し、音を発生させることができます。イメージとしてはサックスのリードより、トランペット等の金管楽器のマウスピースに押し付けた、上下の唇(リップリード)が声帯の機能に似ているかもしれません。声帯から出る音は「喉頭原音(こうとうげんおん)」と呼ばれ、個人による差はほとんど無いそうです。
声や歌声の人による違いの多くは、その人の身体の部位の形や、息の出し方等、音の通り道で決まります。声帯で作られた喉頭原音は、いわゆる「喉」の「咽頭腔(いんとうくう」、鼻の奥の「鼻腔(びくう)」、口の中全体の「口腔(こうくう)」などの共鳴腔と呼ばれる空間で響き、口の外に発せられて声になります。
「あいうえお」の母音は口腔内で呼気の流れがあまり妨げられないで発せれられ、母音以外の子音は、口腔内で呼気の流れが妨げられて発せれられる言語音です。口を開け、舌を動かさなければ、母音しか発音することはできません。「あー」と発しながら、その音の高低を変えると、喉の奥が口腔の形や咽頭腔の太さが変化するのが分かります。
このコロナ禍の隔離生活で話題となっていますが、他の筋肉と同じように、声帯も使わないと衰えて来るそうです。喋らない、歌わないでいると、発声が困難になる場合があるそうです。
サックス等の管楽器の場合、声帯にあたるリードの先はマウスピースやネック、楽器本体が共鳴腔となるだけでなく、リードの手前の口腔、鼻腔、咽頭腔、そして声帯までがサックスのサウンドのための「共鳴腔」となります。同じサックスを吹いても、奏者によって全く違うサウンドとなることは、これで納得できます。
また、「鳴りの良くないリード」が、必ずしもリードだけの責任でないことも、声帯の機能を考えると分かります。サックスである音が鳴り難かった時、楽器や自分の口腔、アンブシャなどに原因がある場合も無くはない、ということです。また「鳴らないリード」も、声帯に個人差が無いということを考えれば、鳴らないのは奏者のせいで、リードに罪はないのかもしれません。
とはいえ、自分の思うように鳴ってくれないリードは、「使えないリード」でしかありません。声帯の理屈から推し量れば、鳴り易いリードは柔軟な柔らかいリードです。そして硬さが音質を作ります。リードで悩んだら、まず柔らかいほうからやり直してみる、という定番の方法には根拠があるようです。
リードが発した空気振動が、サックスと奏者の身体の共鳴体を鳴らすとき、リード自身もその周波数で振動します。それが共鳴です。ですので、ある必要な振動数で振動し難いリードは、鳴らないリードと言えます。この現象はリード個体の特性の問題です。切ったり削ったりで治せる場合もあります。ここは身体の声帯とリードの大きな違いです。
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