サックスの魅力の一つに、その見た目の美しさがあると思います。金属素材主体の管楽器の中でも、サックスはピカピカに磨きあげられた管体に、同じくピカピカの細かい部品が美しく取り付けられていて、見てるだけでうっとりするような美しさです。その美しさゆえに、そのピカピカが曇ったり、汚れたり、傷ついたりすると、とても気になります。
「音楽をする道具」であるがゆえに、ある程度のラフな使用は避けられませんので、いきおいピカピカの劣化は仕方がないことですが、なるべくなら愛用のサックスには、なるべく「美しくいて欲しい」ものです。今回は、ピカピカの維持の方法についてお話します。
サックスの材料は真鍮が大多数ですが、その他の特殊な合金も使われています。そしてその表面処理には多くの場合、ラッカー塗装による仕上げがおこなわれています。
ラッカーは乾燥すると硬くなり、サックスの金属表面を傷や腐食、変質から守ってくれます。厚塗りすれば、それだけ耐久性が上がりますが、ラッカーの厚さが金属の振動に影響し、管体の鳴りが大きく変わってしまうのでそうもいきません。ラッカー仕上げは材質の保護ばかりでなく、楽器の音質のコントロールにも関与しているのです。
ピカピカの維持のポイントは、この金属表面のラッカー皮膜を傷つけず、破らず、剥がさないことです。例えマイクロファイバーのワイピングクロスでも、サックスの表面や金属部品をゴシゴシと強く擦ることは避けましょう。唾液系の汚れであれば、ノンアルコールの濡れティッシュを硬く絞ってやさしく拭き取り、手脂系やグリス系の汚れであれば、アルコール系の濡れティッシュで拭き取りましょう。
いずれの場合も水分や液体が、部品の間に入り込まないよう注意してください。部品の隙間のサビや、動作不良につながります。カラ拭きで埃を取る場合は、タオルなどの硬い繊維は避け、ガーゼや専用のワイピングクロスを使用しましょう。汚れや水分をまめに拭き取っていれば、サックスの表面はかなり長い間、輝きを保ってくれるはずです。
とはいえサックスのボディは、奏者の手であちこち触られますし、奏者の身体のどこかに擦れたりもします。擦れは細かい傷になり、やがて表面の曇りになってきます。傷はいつの間にか深くなり、ラッカーの表面層を破り金属面に到達します。傷が金属面に至ると、そこから金属の酸化(サビ)や変質が始まります。サックス表面のラッカーはかなり薄いので、遅かれ早かれ素材金属の表面はサビたり変質したりします。
見た目には残念ですが、この変化でサウンドにまとまりが出てきたり、鳴りが良くなる場合があるので、「サックスの成長」と考えるのが良いでしょう。ジャズ系のサックス奏者は、初めからラッカーを掛けない「アンラッカー」のサウンドを好む人も少なくありません。
ラッカーの「焼け」にも注意してください。紫外線でラッカーはゆっくりと変色し、かつより硬化し、もろくなります。管体にメッキを施したゴールドプレート(金メッキ)やシルバープレート(銀メッキ)でも、表面をラッカー処理してある場合もあるので、ラッカー焼けには要注意です。
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