作曲家および編曲家、もしくは教則本の著者としてのイメージのほうが、サックス奏者としての彼のイメージより強いかもしれません。
ジャズのアドリブを勉強する多くの人が使用した、あの偉大なるエチュード本、「パターン・フォー・インプロビゼーション(Pattern for Improvisation)」の著者であり、モダンジャズの歴史に残る画期的なアルバム、『ブルースの真実 (The Blues and the Abstract Truth)』(1961:インパルス)を世に発表したジャズテナーサックス奏者、オリヴァー・ネルソンは1932年6月4日、ミズーリ州はセントルイスの音楽一家に生まれました。
兄はサクソフォーン奏者、姉はシンガー兼ピアノ奏者で、オリヴァーは6歳の時にピアノを習い始め、11歳の時にはサクソフォーンを演奏し始めています。1947年初頭にはセントルイスのローカル・バンドに参加し、1950年からルイ・ジョーダン・バンドでアルトサックス奏者兼アレンジャーとして活躍しました。その後セントルイス・ワシントン大学とリンカーン大学で作曲法と音楽理論を学び、1958年には修士号を取得しました。
そして1961年、フレディ・ハバード(tp)、エリック・ドルフィー(as, fl)、ビル・エヴァンス(pf)、ポール・チェンバース(b)、ロイ・ヘインズ(ds)ら著名なミュージシャンらとともに、名曲「ストールン・モーメンツ(Stolen Moments)」ら6曲を収めた、後世のジャズ界に大きな影響を残した名盤、『ブルースの真実 (The Blues and the Abstract Truth)』をリリースします。
オリヴァーはテナーサックスの他アルトも吹きますが、いずれのサウンドも非常にステディなことが特徴です。輪郭のしっかりした硬質なサックスサウンドで、非常に理知的なフレーズを湯水のように生み出し、作曲家、アレンジャーとしてのオリヴァーの卓越した才能が、フレーズの組み立てに垣間見える演奏です。
彼の演奏スタイルを、「理屈っぽく、醒めすぎている」と批判する人もいるようです。彼はジャズのアドリブに必要な、テクニカルなフレーズを理論的に構成し集めたエチュード本、「パターン・フォー・インプロビゼーション(初期の著書名は「パーターン・フォー・ジャズ」ですが、ジェイミーからの再版時に名称が変わったそうです。)」には12キーでのフレーズパターンが満載されていますが、オリヴァーの秀逸な理論展開が随所に見られます。
この本のフレーズは最初のうちは「何が何だか分からない」、という感じなのですが、繰り返し練習を続けるうちにフレーズの意味、応用のしかたが段々分かるようになり、結果、良いアドリブへの近道だと気づく、という評判の本です。ジャズ研の先輩などから、「とにかくやれ。いずれ役に立つ」と言われて渡される教則本のレジェンドです。「冷酒と親父の小言は後で効く」ということわざを、サックスの教本にしたような感じですね。
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