最近、サウンド改善用のネックスクリューやリードのカスタム調整など、自分のサックスに対して積極的アプローチし、サックスを「より鳴るように」と色々工夫しているサックス奏者が多いようです。「より鳴らす」というのは、すべての管楽器奏者の共通の思いではありますが、「鳴り」ということを考えるとき、ある管楽器設計者の、「管楽器は鳴るように設計され、作られている」という言葉を思い出します。
ある年配のサックスの先生が教えてくれました。「このサックスは鳴りたがってる。美しい音色で。それを助けるのが奏者の役割。正しい呼吸やアンブシャが楽器を鳴らすのではなく、楽器が最高に鳴ることのできたとき、それが良い呼吸であり良いアンブシャである。」、と。これは別に禅問答や精神論ではありません。
楽器という機械は、音楽を奏でるための音を発生させるべく設計されており、その設計目標に対して緻密に製造されています。奏者が適切に特定の条件を与えれば、物理法則に基づいて音が発生します。
サックスはその構造上、比較的簡単に音が出る楽器ですので、「音が出た」という現象に早期にたどり着くことが出来、「良い音」にこだわるのが、ついつい後回しになりがちです。楽器の持っている100%の能力を引き出した「音」が出ていなくても、次の課題の「メロディ」や「節回し」に奏者の興味が行きがちです。そしてサックス奏者は往々にして、「自分がこのサックスを鳴らしている」という錯覚に陥ってしまいます。
かつての伝説のテナーマンを真似て、リンクの10番のマウスピースに4番のリードを着けて吹けば、「あの音」が出ると思い込んでいませんか?そのセッティングで「テナーを鳴らせる」のがテクニックだと思っていませんか?違います。あのテナーマン達は、求めるサウンドに辿り着くために、結果としてあのセッティングに行き着いたのです。
今あなたがサックスにしている改造やその計画、また練習の方法を変える必要はまったくありません。ただ、自分のサックスの「鳴るポイントを探す」、また「鳴ってもらう工夫」に少しだけ意識を傾ければ、今の練習がより効果的になり、より良いサウンドメイキングの近道になるはずです。
一回の練習で10分、息の出し方、スピード、量、角度、また唇の締める強さ、口腔内の形、舌の位置、等々の奏者側の可変要素と、リードの装着の位置、リガチャーの取り付け位置、マウスピースの違い等の機械的なセッティングを、細かく変化させながら自分のサックスと会話してみたらどうでしょう。
このような、自分のサックスの特性を理解し、よりそのサックスの良さを引き出す方法を考え、試し、理解すれば、必ずそのサックスに「100%の力で鳴っていただく」ことが出来るではずです。そしてそれが出来たら、あなたの好みに合わせて、そのサックスを「鳴らす」段階に入ると良いと思います。
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