ここ数年、単独サックスケースの新製品が、次々と市場投入されています。低価格帯でも良質なケースが沢山揃っていますし、使い易さや性能、堅牢さ等に独自の工夫がなされた、サックス奏者のマニアックな要求に応えたケースも数多く見られます。
サックス奏者にとっては恵まれた「ケース選択環境」と言えますが、中には、「ん?ちょっと」というケースもあるようです。サックスケースの重要な条件、耐久性の見分け方のポイントをお話しします。
サックスケースの目的は、移動時には衝撃等からサックスを「保護」し、保管時でもサックスを良い環境に保つことです。そしてその性能がかなりの長期間に渡って維持されなければなりません。
「長く使える」という要素は、サックスケースにとってとても重要です。長く使える→丈夫→壊れ難い、ということは、収容した中のサックスを安全・確実に守ってくれるという事です。突然取っ手が外れたり、フタの金具が破損して口が開いたり、外装が裂けて雨水がしみ込んだりしては、中のサックスを守ることは出来ません。
耐久性を見極めるには、ある程度の知識が必要ですが、見た目や感触で大雑把に判断することも出来なくはありません。取っ手やヒンジの部分は、それらの取り付け構造、固定ネジ、釘、金具の材質や状態を良く見てみれば、「簡単に壊れそう」は意外と感じることが出来ます。また外装の材質も、触った感触や縫い目、布ならば繊維の編み方のムラや厚みで、堅牢度が感じられます。
最近の楽器ケースには、「コーデュラ」というナイロンの7倍もの強度を持ち、耐水性にも優れた化学繊維の布が使われることが多いようです。仕様に「コーデュラ(1680デニール)使用」などと記載されていれば、表面材質の耐久性はかなり信頼できるでしょう。
逆に安価なサックスケースの中には、外装や内装にポリウレタン系の化学繊維やシートを使っている場合がありますが、これらは空気中の水分による「加水分解」という劣化が起き易く、何もしていないのに布がポロポロと剥がれ落ちたり、表面がヌルヌルになる場合があります。確実に見分ける方法はありませんが、布や合皮に必要以上の弾力が感じられた場合は、疑っても良いかもしれません。
内装のサックスを衝撃から守る部分、クッションの耐久性も重要です。使用している材質によってクッションの緩衝材が経年劣化し、気が付いたらサックスを支えている部分に隙間が空いた、押しても戻らない、カチカチに硬くなった、なんてことが生じます。緩衝材の判断基準は、「押した後、必ず同じ形に戻る」、「柔らか過ぎず、硬め」、「溶剤の匂いが酷くない」等いくつかありますが、これといった決め手はありません。
総合的には、「安っぽい内装」は敬遠するのが得策だと思います。万が一、あなたのサックスケースの内装が自然変形してきたり、溶け出してシミになったりしてきたら、その部分を撤去して修理するか、サックスケースの寿命として諦めるかしてください。化学系の経年劣化で生じるガス成分は、サックス本体の部品に悪影響を与えますので要注意です。
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いつも「サックスお悩み相談室」を楽しみに拝読しています。今回の「サックスケースの耐久性の見分け方」についてご参考までに小生の経験をお伝えします。これは何も異論を唱えるものではありません。
まず小生は中学校1年から吹奏楽を始め、途中、社会人になってから途切れたこともありますが、63年弱管楽器に関わっています。元々は Low Brass でしたが現在のバリトンサックスに辿り着く経緯はこちらをご覧ください。
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http://groove.music.coocan.jp/bari/inst081.htm#84
バリトンサックスに挑戦しだしたのが60歳、当時はまだ現役(上記URLの「管理人さんには「今年サラリーマンを定年退職」と書かれましたが実際にはその後5年間現役を続けました)だったこともあり楽器を購入するに際してセミハードながらファイバーグラス製の軽いケースにしました。
ところがほぼほぼ1年経った通勤途中、楽器をケースに入れて運んでいたところ(普通に平らな道を歩いていました)突然取っ手が切れてしまいました(すぐにケースを引き上げたのでショックは多少は軽減されました)。たまたまそのケースはフランスの大手楽器ケースメーカー(ご想像の通りです)と非常によく似たデザインで取っ手も付け替えることが出来たので購入先に持ち込んで取り替えて貰いました。と同時にたまたま普段から調整に出している某メーカーのリペアショップ(他メーカー専属アーティストでも調整はそちらに出している人もいます)の担当者が小生のケースを見て興味を持ち購入していたので取っ手が切れたことを伝えたところ「自分のも切れました」とのことでしたがさすがリペアマンで「自分で直した」とのことでした。
それから数年後、今度は別の取っ手が切れてしまったので(電車に乗っていてケースを立てて持っていましたが降車するので縦方向に持ち上げたところ切れてしまいました)今度はそことさらにもう一カ所、切れていない取っ手も同じフランス製ケースメーカーの取っ手に付け替えました。
それから10年以上経過しました。コロナ禍で演奏の機会も極端に減りましたが自室に毛0すを立て掛けていて倒れないように一番てっぺんにある取っ手と近くのクロゼットの取っ手をプラスチック製のフックとチェーンで引っかけて地震等で倒れないようにしていましたがふと気が付いたら見事に破断していました。恐らく力は殆ど掛かっていませんでしたが変な形で曲がっていたのが原因だと思います。
いずれにしてもコロナ禍が収まったら楽器店で再度最後に切れた取っ手(フランス製ケースメーカーのもの)も取り替えて貰おうと思っています。
ところで最初に取っ手が切れた時に破断面を見たところ特に金属などによる補強はなく樹脂だけだったので「これでは経年で破断する」と思いましたが、今回最後に切れたフランス製ケースメーカーの取っ手にも金属等の補強材が入っていなかったので驚きました。
実は今のケースは最初に買ったケースと同じ楽器店が作っている同じモデルです。まず接着剤か何かの異様な臭いが強烈にしていましたがそれに加えて楽器がキチンと固定出来ず背負って運ぶと中でガサガサ言うので詰め物をして固定していました。そして最初に取っ手を変えて貰う時にこのことを説明して「多少お金を払ってもいいからケースを薄く出来ないか?」と訊いたところ(ファイバーグラスなので無理なのは判っていましたが)楽器店の担当者が急に「一寸待っててください」といって店の奥に行き、別のケースを持ってきました。マイナーチェンジしたもので若干薄くした、とのことで(それ以外にも若干改善されているところもありました)楽器の収まりも良く、当初考えていた予算よりは若干高かったもののケースに傷が付いていたためかなり安くしてくれる、というので今はそのケースを使用しています。
今回の「サックスケースの耐久性の見分け方」を読んで大分前の話ながら思い出したのでご連絡します。
じみー、