サックスという「道具」はその性質上、より多くの人間が快適に操作できるよう、「人間工学」に基づいて各操作部が設計されています。そして万人のための平均値で作られたゆえに、所有者の両手の形状にぴったりフィットしない場合もあります。
そこで必要になってくるのが、所有者個人のための「カスタマイズ」です。サックスのキー周りのカスタマイズについてお話します。
キー周りのカスタマイズで一番一般的なのが、パームキーの高さの調整です。左手の手のひらで押す三つのパームキーは、その押し方が特殊なため、位置や高さのベストポジションが、奏者によってまちまちです。
コルクを貼り付けたり、パテを盛り付けたりで、高さを調整するプレーヤーが多いようですが、いくつかのアクセサリーメーカーから、パームキー全体に被せて高さを調整する、ゴム製や樹脂製の「パームキーライザー」なるものが販売されています。着脱も簡単ですし、高さの微調整も可能なので便利です。
リペアマンに頼めば、キーの形状そのものを変形させて、好みの高さに調整することも可能です。どんな方法で高さ調整をする場合でも、キーの支点と作用点の関係が変わり、それが原因の操作感の変化も生じますので、それを念頭に改造してください。
オクターブキーの操作レバーの高さを、調整するプレーヤーも少なくありません。基本的には、サムレストに親指を乗せた状態でオクターブレバーに親指を触れておき、最小限の親指や手首の動きで押し引きの操作をしますが、この操作を瞬時におこなえるように、レバーとサムレストの高さのギャップとレバーのストローク(押ししろ)を調整します。
レバーのストロークの調整はリペアマンに任せるのが無難ですが、後着けのネジ留めのサムレストを使用している場合は、高さ調整は自分でもおこなえます。1mm以下の調整で、びっくりするほど操作感が変わりますので、興味のある方は試してみてください。
キー全体のストロークの調整も、素早い操作を実現するためには有効です。一般的にストロークを長くすると、キーのオープン状態でのパッドとトーンホールの位置関係が遠くなり、フレーズ内の音の区切りがはっきりすると言われています。ストロークを狭くすれば、想像通り、素早いフレーズが操作し易くなります。しかしパッドとトーンホールの距離は、各音の音程に深く関係しますので、操作感のみでなく、音程やピッチへの影響にも配慮が必要です。
キー全体の操作感を調整するために、キーの「指貝」を交換・調整するサックスプレーヤーも居ます。指貝の色や材質を変えることで、サックス全体の見た目も大きく変わりますが、指貝の窪みの深さや傾きを調整することで、指の先端が引っ掛かり易くなったり、キーを閉める操作が安定したりするようです。
サックスの操作は非常に微妙ですので、思わぬ部分の調整で、抜群に快適な操作感を得られる場合が少なくありません。是非是非、研究してみてください。
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