タンポとも呼ばれる「パッド」は、サックスの最重要部品です。親戚のクラリネットやフルートには、指の腹で塞ぐトーンホールが在りますが、サックスのすべてのトーンホールは、このパッドで塞ぎます。パッドに不具合があれば、サックスは楽器として機能しなくなります。このパッドの日常のメンテナンスについて掘り下げてみましょう。
一般的にパッドは、台紙と呼ばれる丸い厚紙に、クッション材となる圧縮フェルトを重ね、これを包み込みこむようになめし皮を張り、プラスチックや金属のレゾネーター(ブースター)と呼ばれる円盤状の板をその真ん中に張り付ける、といった形式で作られており、サックスの様々な大きさの25個のトーンホールを塞ぎ、開くための部品です。
なめし皮が弾力性を失ったり、傷などで破損したりで、トーンホールを密閉出来なくなったときがその寿命とされますが、息の水分によるパッドへの水滴付着の度合いが、パッドの寿命に大きく影響します。サックスのネックに近いパッドほど、水滴の付着度は高く、寿命は短くなります。
年一回ほどのバランス調整では、左手より上のパッドを数か所交換するのが一般的です。パッドの交換は不具合のあるパッドのみの交換だけでは済みません。サックスのキーは互いに密接に連携しているため、連携するカップのパッドも同時に交換・調整しなければならない場合も少なくありません。
パッドの日常メンテナンスで一番大事なのは、サックス使用後の水分除去です。吸水ペーパーを使用して、ネックから真ん中の「ソ」あたりのトーンホールまで、必ず水分を拭き取りましょう。それよりベル側のパッドには、サックスの演奏で水分が付着することはあまりありません。
またオープンキー(サックス放置状態で開いているキー)でも、水分除去はしっかりやりましょう。いずれ自然乾燥しますが、乾燥ムラがパッドの密着性を悪化させる場合があります。
キークランプ等を使用して、全キーを閉じさせてサックスを保管する方がいますが、このようなサックスの状態は、移動時に不要な振動でキーカップのステーが曲がってしまう事を防ぐためのもので、移動による振動がない場合はキーをクランプする必要はありません。パッドを必要以上の力でトーンホールエッジに押し付け続けると、パッドのトーンホールエッジへの密着部が硬化してしまい、密閉に不具合が生じる場合もあります。
パッドの材質は、ヒツジなどの動物の上質ななめし革や、それらに類似した性質の合成皮革が使用されますが、その柔らかさでトーンホールを密閉します。
穴を塞ぐならゴムかシリコンが最適だと思われますが、トーンホールの密閉状態から、軽いバネの力で瞬時に開く必要があるのもパッドです。「塞ぐ」と「離れる」の絶妙なバランスがパッドの材質には必要です。パッドのべたつきを治す液体が市販されていますが、使用し過ぎると、パッドの密着性に難が出る場合もあるので注意が必要です。
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