オーバーブローイング、ハーモニック奏法、マルチフォニック奏法等の高度なテクニックを持ち、伝説のサックス奏者、オーネット・コールマンにして、「おそらく世界で最高のテナーサックス奏者」と言わしめたフアラオ・サンダース(Pharoah Sanders:本名Farrell Sanders)は1940年10月13日、アーカンソー州リトル・ロック生まれのジャズテナーサックス奏者です。
実は彼が自分を「ファラオ」と名乗っていたのはほんの一時期で、その後はずっとファロア・サンダースと名乗っています。英語表記が「Pharoah」にもかかわらず、なぜか日本ではどこでも「ファラオ」と呼ばれています。フリージャズ発祥のアルバムとされる、ジョン・コルトレーンの名作、『アセンション(1965)』でも英語表記は「Pharoah Sanders」ですが、日本語ではファラオ・サンダース表記です。
1965年から、巨人ジョン・コルトレーンのグループのメンバーとなり、コルトレーン名義の6枚のアルバムに参加しています。コルトレーンが亡くなるまで行動を一緒にし、彼の音楽性を引き継いだファラオは、名実ともにジョン・コルトレーンの後継者と呼ばれました。ファラオは現在まで30 枚以上のリーダーアルバムをリリースしており、レオン・トーマス、アリス・コルトレーン、リナイ・モーリス等、幅広いミュージシャンとコラボレーションしています。
フアラオの音楽は、カルマやタウヒードなどの宗教的概念にインスピレーションを得ており、その豊かで眼想的な美学から「スピリチュアルジャズ」と呼ばれています。まさにこのスタイルが、『至上の愛(1964)』 等のアルバムでコルトレーンが示した、精神世界の音楽性の続きと見なされています。
長い音楽家人生のうち、ファラオは何度も複数のメジャーレーベルからの解約、再契約を繰り返しており、幾度となく「引退?復帰?」を繰り返しています。その一例を挙げれば、ファラオはメジャーレーベルへの復帰として、1995年にヴァーヴレコードから『Message from Home』をリリースし、続けざまに『Save Our Children (1998)』をリリースしています。
しかしファラオは、当時のレコーディングビジネスへの嫌悪感から、そのレーベルをまもなく去ることとなりました。ファラオはこのようなことを繰り返し、1999年のインタビューでは、「仕事を見つけるのに本当に苦労している」と不平を漏らしています。
2000年代のジャズの人気復活を契機に、フアラオは2004年のブルースフェスト・バイロンベイ、2007年のメルボルン・ジャズフエスティバル、2008年のビッグチル・フェスティバルなどのフエスティバルに招聴されたり、コンサートへの出演や、アルバムのリリースを復活しています。
2020年、フアラオはエレクトロニック・ミュージック・シーンにおける天才アーティスト、フローティング・ポイントと、ロンドン交響楽団とのコラボレーションの録音に参加しました。『Promises(約東)』と題されたこのアルバムは、2021年3月にリリースされ話題を呼びました。 フアラオ・サンダース、80歳にして健在です。
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