サックス初心者ならずとも、アンブシャについての疑問や悩みは、多くのサックス奏者の頭痛の種になっているのではないでしょうか。確かにサックスを吹いていて、「こんな音を出したい」、「音程を安定させたい」、「表現力を高めたい」等、多くの「奏者の要望」はアンブシャの形態や鍛錬によって実現できるものが少なくありません。アンブシャのどの辺が重要なのでしょうか。
クラッシック系のサックス指導者の多くは、「正しいアンブシャ」を微に入り細に入り教えてくれます。反対に、ジャズ系のサックス奏者の中には、「アンブシャ?分かんねえ。適当に吹いてる」という豪快なプロ奏者もいるようです(最近は少ないです)。
タイトリップ、シンリップ、ルーズリップ、ダブルリップ等、アンブシャに関する用語や解説も、多くの資料が世に溢れています。口輪筋の締め具合によって、音の高さは全音以上変化させられます。顎の位置をほんの少し変えただけで、音質はびっくりするほど変わります。自分のあるべき形のアンブシャに出会えれば、10分の演奏でヘタッていた口輪筋が、数時間耐えられるようになります。口角の筋肉の上下で、高音や低音の出易さをコントロールすることが出来ます。
このようにサックスのサウンドに対し、アンブシャで多くの目的を実現出来る故に、今の自分のアンブシャが「ベスト」なものと、確信することが難しいのではないでしょうか。そして多くのサックス入門者は、ロングトーンなどの鍛錬で、アンブシャを「固めよう」と促します。ここがアンブシャ病の典型的な入口です。アンブシャは固定させるものではなく、目的に合わせて自在にコントロールし、安定的に変化させられることが重要です。アンブシャはあくまで手段であり、目標は「出てくるサウンド」や「表現力」です。
サブトーンを出すためのアンブシャの基本形はありますが、クリアなストレートトーンを出すためのアンブシャとは異なります。
かつてのジャズサックス奏者は、太く豪快なサックスサウンドを出すために、口輪筋を締め付けない吹き方を好み、楽器全体のピッチが下がり気味でした。それゆえ、マウスピースを普通より深く差し込む必要が生じ、ネックの奥にまでコルクを巻いた「アメセル巻き」というものが流行していました。顎を前後させることでマウスピースに対する息の角度が変わり、低音域向けの息、高音域向けの息を作ることが出来ます。バリトンサックスでは、このコントロールが必須の奏法です。
サックス奏者が出すべきサウンドはひとつではありません。多様なサウンドで歌い、音楽を表現することが重要です。アンブシャは自在に変化させ、奏者の意思を楽器に伝えるものです。練習は色んなアンブシャを練習しましょう。
アンブシャの変化を意識すれば、「ダメなアンブシャ」が自覚出来ます。「ダメ」を避け、多様な「最適」を実現する、複数のアンブシャパターンを獲得する事が、サックスの表現力を向上させるための正攻法ではないでしょうか。
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